2022年7月20日19時00分 スポーツ報知
一級河川としては珍しくダムが一つもない日本一の清流・高津川を舞台に、歌舞伎の源流ともいわれる「石見神楽」の伝承を続けながら懸命に生きる人々の営みを描いた。
高津川の流域で牧場を経営している斎藤学(甲本雅裕)は妻を亡くし、母・絹江(奈良岡朋子)、娘・七海(大野いと)、息子・竜也(石川雷蔵)の4人暮らし。地方では若者の流出による人口減や、祭りや技術の伝承が危機的状況にあり、高津川流域の人々も同じ問題を抱えていた。
そんな時、母校の小学校の閉校や、高津川上流にリゾート開発の話が持ち上がり、学の同級生で和菓子店を継いだ陽子(戸田菜穂)、寿司店を継いだ健一(岡田浩暉)、農業と養蜂をしている秀夫(緒形幹太)、東京で弁護士をしている誠(田口浩正)らが集まって相談することに。最後の運動会には「日本各地にいる卒業生を集めよう」と決めた。
唯一リゾート開発を否定しなかった誠は、学に連れられ自身の父・正(高橋長英)の元へ。目をそらしてきた現実と、失おうとしている大切なものを目の当たりにした。それぞれの思いを乗せた最後の運動会が開催され、彼らが見つけた答えとは…。
主演は確かな演技力が定評の甲本雅裕。劇場映画初主演となり、無口で不器用な父親を演じた。戸田菜穂、大野いと、田口浩正、高橋長英ら実力派が集結。監督・脚本は「白い船」「RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語」の錦織良成が務める。ゆったりとした時間が流れ、スクリーンの中に溶けてしまうかのような錯覚を覚えるほどの優しい作品だ。