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G大阪ジュニアユースで「誰なん?アイツら」と言われたW杯代表候補…みんなが子どもの頃からすごかったわけではない

2018年5月4日16時0分  スポーツ報知
  • 5月3日早朝、帰国した本田圭佑

 サッカーW杯ロシア大会まであと1か月あまり。ハリルホジッチ氏の監督電撃解任で代表選考に注目が集まっている。

 代表論議が盛んになるたび、私は「代表に入るほどの選手は、子どものころからすごい才能だった違いない」と思い込んでいた。現在の日本でたった23人のうまいヤツなのだから、昔からビックリレベルなのは当然でしょ…てな感じで。だが、各所で様々な取材をするうちに、一概にそうとは言えないことも分かってきた。

 あるガンバ大阪ジュニアユース(中学生年代)出身の選手に興味深い話を聞いたことがある。ガンバは、関西中のエリートが集まる名門チーム。ほぼ全員が中学サッカー界隈では有名人なので、ほとんどはお互いに名前とプレースタイルは知っていた。

 入団初日。初顔合わせをしてみると、全く知らない選手が2人いた。「誰なん?アイツら」。ヒソヒソ確認しても、仲間は「いやあ、分からん」「名前も聞いたことがない」と言うばかり。実際に練習しても実力差は歴然、当初は「何でココに来られたんや」とさえ思っていたという。

 周囲から歯牙にもかけられなかった「2人」。それがMF本田圭佑とGK東口順昭だった。その元選手は「東口はちょっとは知っているヤツもいましたが、本田の方はまさしくナゾの存在でしたね」と振り返る。十数人いた精鋭軍団のなかで、実力で下から1番と2番目だけがロシアW杯の日本代表候補になっている事実。信じがたいサクセスストーリーだった。

 今のトップ選手も似たようなエピソードが多い。MF長友佑都と明大時代にチームメートだった選手は「メンバー外の選手が応援で叩く太鼓が超絶にうまかった…ぐらいの印象だったのに、あっという間に代表まで登りつめて驚いた」と話す。FW岡崎慎司と高校時代に同級生だった選手は「根性はすごかったけど、センも細いし代表になるほどとは思ってなかった」。MF久保裕也が10代後半のとき、当時の所属チームだった京都の大木勉監督は「ゴールに向かう姿勢はすごい。でも、テクニックないんだよねー」と評していた。代表選手であっても「子どものころから超絶レベル」だったのは、むしろ少数派だ。

 ちなみに前述の元選手に当時の本田の性格を聞くと、「いやあ、変人でしたよ」と苦笑い。「毎日誰かの家の夕食に押しかけて飯食って帰るから困った」「合宿中に『川の対岸まで泳げたら1万円あげる』と冗談で言ったら裸になって本気で泳ぎだした」などオモシロ話が次々に飛び出した。

 ははあ、本田の場合は空気を読まない強すぎハートが上達のカギだったのか…。何だか妙に納得してしまった。(文化社会部・樋口智城)

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