【二宮寿朗の週刊文蹴】森保ジャパンの根底は「支え合う力」

スポーツ報知
選手に指示を出す森保監督(カメラ・竜田 卓)

◆国際親善試合 日本3―0コスタリカ(11日・パナソニックスタジアム吹田)

 確かに若い力が光った森保ジャパンの初陣ではあった。

 11日のコスタリカ戦。中島翔哉は面白いように相手をはがし、南野拓実はチャンスにことごとく顔を出してテクニックを発揮していた。後半に入ってからは堂安律の仕掛けにスター性を感じたし、スピードに乗った伊東純也の“ゴールメイク”にもうならされた。

 自分の得意分野ばかり強調するアピール合戦であれば、見ているほうもここまで清々(すがすが)しい気持ちになれなかったに違いない。血気盛んな若者たちは独りよがりなプレーに走ることなく、意識をチームに向けていた。「組織のための個」という前提が抜け落ちることはなかった。

 配置の妙があった。森保一監督はセンターラインに年長者を立たせたのだ。東口順昭は落ち着きをもたらし、槙野智章は常に叱咤(しった)の声を飛ばした。キャプテンマークを巻く青山敏弘はまさに黒子の働きだった。バランスを取りつつ、相手にニラミを利かせていた。最前線の小林悠には若いアタッカー陣の長所を引き出そうとする意識が見てとれた。献身のセンターラインなくして、まとまりを持ったチームの躍動はなかった。指揮官が就任会見で口にした「世代間の融合」が吹田のピッチに広がっていた。

 初陣を終え、指揮官はこう感想を語っている。「攻撃の選手が攻撃できたのは守備の選手が頑張ってつなげたというのがあってのこと。選手たちには自分の良さを最大限に発揮してほしいと伝えました。と同時に、周りと支え合ってつながってプレーすることが自分の良さを出すことになるとも。実践してくれたのは、監督として幸いなこと」

 “支えられている”実感が“支える”マインドを強くする。年長者の助けを借りながら、指揮官はまずそれをチームに落とし込みたかったのではないだろうか。森保ジャパンの根幹はここにある。

(スポーツライター)

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