「マラドーアン」堂安、強烈な向上心と負けん気が生んだ代表初ゴール

スポーツ報知
後半14分、堂安が代表初ゴールとなるチーム3点目を決める(カメラ・竜田 卓)

◆国際親善試合 日本4―3ウルグアイ(16日・埼玉スタジアム)

 MF堂安律(20)が値千金の決勝点となる代表初ゴールを挙げた。20歳122日でのゴールは日本代表史上12番目の年少。森保一監督(50)は初陣から最多タイ記録となる3連勝に導いた。目標に掲げる22年カタールW杯での8強入りへ向けたチームづくりとして、強豪相手の1勝は大きな意味を持つ。

 記念すべき初ゴールは、まさに“堂安の形”だった。2―2の後半21分。堂安はDF酒井にパスを預けると「頼むから返してくれ!」という思いでゴール前に走った。そしてイメージ通りのリターンパスに、左足を振り抜いてゴール左隅に流し込んだ。「(酒井)宏樹君がおれの形に出してくれた。ファーストタッチが素晴らしいところに止まったので、左利きなら決めなくちゃいけないところでした」。代表3試合目での初ゴールは、ウルグアイ相手の決勝点となった。

 「1点目はヘディングとか、(利き足ではない)右足かなと思っていたんですけど。一生思い出に残るゴールになりました」。細かいドリブルが武器の左MF中島とは対照的に、シンプルなボールタッチと力強いキープ力でDFに挑んだ。このプレースタイルは、子供のころから変わらず。小学生時、86年メキシコW杯で伝説の5人抜きゴールを決めたアルゼンチン代表ディエゴ・マラドーナの映像を見つめて、磨き上げたスタイルだ。同じ左利きで、「マラドーアン」とのニックネームで呼ばれる20歳が、持ち味を存分に見せつけた。

 3兄弟の末っ子として生まれ、2人の兄の影響で幼稚園からサッカーを始めた。しかし小学3年時、C大阪ジュニアのテストを受けたが不合格に。地元の西宮SSに進み、中学進学時にはG大阪、C大阪など多くのクラブからオファーを受けた末にG大阪へ進んだが、一度は不合格となった経験から「おれはエリートじゃない」という思いを秘める。技術やフィジカルだけではなく、強烈な向上心と負けん気が、堂安の武器だ。

 森保ジャパンではDF冨安と並ぶ最年少の98年生まれ。この日は右サイドでロシアW杯組の酒井宏と好連係をみせ、世代間の融合にも大きな可能性を感じさせた。「宏樹くんが合わせてくれて、やりやすかった。これから日本を強くしていくのも、僕たち次第だと思います」。森保ジャパンの中心へとのし上がるべく、東京五輪世代の旗手が、大きな第一歩を踏み出した。(金川 誉)

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