【二宮寿朗の週刊文蹴】“ポイチ流”マネジメントの妙

スポーツ報知
指笛を吹く森保監督

 日本代表の森保一監督が“名プロデューサー”に見えてくる。

 パナマ、ウルグアイと戦った10月の親善試合2連戦。招集した23人のうち、GKシュミット・ダニエル以外の22人を起用した。長距離移動を伴う欧州組のほとんどを2戦目のウルグアイ戦に回したことはコンディション調整の面でもうなずける。かつ、いつも本気モードで戦ってくれる南米の強豪に対し、交代カードを2枚しか切らなかった。テスト的な要素を薄め、公式戦に近い雰囲気をつくり出した。だからこそこの緊迫したゲームを勝ち切ることができたのだとも思えた。

 試合に出る、出ないによって選手のモチベーションに差が生じ、それがチームの雰囲気にも直結する。また、招集に応じた所属クラブからしても「起用しないのに呼ぶ」となると、眉をひそめたくなるもの。今回の22人起用とその手順は、誰をも納得させた。加えて勝利を手にして選手が自信を深めることになれば、還元を受けるクラブにとってもプラスになる。

 テーマに掲げた「融合」にも組み合わせの妙があった。センターバックはパナマ戦が槙野智章と冨安健洋、ウルグアイ戦が吉田麻也と三浦弦太のコンビ。ボランチは青山敏弘と三竿健斗(パナマ戦)、柴崎岳と遠藤航(ウルグアイ戦)。つまりセンターラインは経験値の高い選手と低い選手を組み合わせている。

 一方、前線はユニット重視にしている。伸び伸びとプレーする中島翔哉、南野拓実、堂安律の若いアタッカー陣と1トップの大迫勇也が素晴らしいハーモニーを奏でてウルグアイから4点をもぎ取ったことからも、これも当たったといえる。

 細やかな配慮をちりばめた指揮官のチームづくりには、今のところクエスチョンマークがない。ちょっと出来すぎな感はあるものの、次回11月、親善試合2連戦の“演出”が早くも楽しみである。(スポーツライター)

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