U―17なでしこ楠瀬直木監督、女性職員にハグで辞任…田嶋会長「われわれも猛省」

スポーツ報知
U―17日本女子代表監督を辞任した楠瀬直木氏

 日本サッカー協会は1日、都内で会見し、U―17日本女子代表の楠瀬直木監督(54)が10月31日付で辞任したと発表した。今後は、U―18日本女子代表の池田太監督(48)が代行としてチームを率いる。会見では楠瀬氏が協会女性職員に2度身体接触し、不快にさせたことが原因と説明された。代表はU―17W杯(ウルグアイ、13日開幕)に向けて、この日から福島県内で合宿をスタートさせたばかりだった。

 W杯に向けた合宿初日、U―17日本女子代表に衝撃が走った。日本サッカー協会は、楠瀬監督が提出した辞任届を受理したと発表。協会は楠瀬氏による女性職員への2度の不必要な身体接触を理由に挙げた。

 弁護士を交え、当事者2人から数回にわたり事情を聞いた協会によると、今年9月、女性職員が上司にメールで相談し発覚した。最初の接触は昨年6月。出張先で打ち合わせが終わった後、前監督が「お疲れさん」の意味で行ったハグで、女性は「不快に感じた」という。今年9月にも身体接触を受けた。2度目については「女性の特定につながる可能性がある」との理由で、詳細は伏せられた。協会側は「相談した弁護士の意見としてはセクハラと断じることはできません。不適切な接触です」と説明した。

 女子委員会で協議し、「(W杯は)帯同させるべきではないという意見が大勢を占めました」(今井純子委員長)。協会も未成年の女性チームを率いることを加味し、「高い倫理観と規律が求められる」(田嶋会長)と解任の方針を決めたが、接触の事実を認めた楠瀬氏から「大変ご迷惑をおかけしました」と辞任届が提出された。この日、町田レディースのテクニカル・アドバイザー職の辞任も発表された。

 田嶋幸三会長は「心からおわび申し上げます。われわれも猛省せざるを得ない」と、再発防止に全力を尽くす考えを示した。今井委員長は「チームが集中して(W杯に)臨めるように最大限サポートしていきたい」と話した。W杯に向けた合宿初日。選手らにとって突然の指揮官辞任となった。

 ◆楠瀬 直木(くすのせ・なおき)1964年4月17日、東京都生まれ。54歳。帝京高から法大に進み、86年に読売クに入団し、DFとしてプレーした。引退後の2009年に指導者S級ライセンスを取得。10年から2年、東京Vユース監督、町田レディースのテクニカルアドバイザーを務めていた。15年には協会出向の形で、U―16日本女子代表(現U―17)の監督に就任。兄はシンガー・ソングライターの楠瀬誠志郎。

 ◆今年起きた主なスポーツ界の指導者をめぐる騒動

 ▼レスリング 五輪4連覇の伊調馨らが日本協会強化本部長の栄和人氏からパワハラを受けたとして1月に代理人を通じ、内閣府に告発状を提出。4月に第三者機関が調査報告書の内容を公表し、栄氏の行為の一部をパワハラと認定。栄氏は強化本部長を辞任した。

 ▼アメリカンフットボール 5月の日大と関学大の定期戦で日大の宮川泰介選手(3年)の悪質タックルにより関学大QB(クオーターバック)が負傷。日大の内田正人監督と井上奨(つとむ)コーチは辞任。関東学連規律委員会は「反則は監督とコーチの指示」と認定し、両氏を永久追放に相当する「除名」処分とした。

 ▼体操 16年リオ五輪代表の宮川紗江が8月、自身への暴力行為で日本体操協会から無期限登録抹消などの処分を受けた速見佑斗コーチの処分軽減を求めた。速見氏の暴力行為は認めた上で師事を表明。逆に処分を下した塚原千恵子・女子強化本部長を「パワハラだと思う」などと告発した。千恵子氏は夫の塚原光男日本協会副会長とともに、来年6月の任期満了をもって退任する意向を表明した。

 ▼陸上 9月に日体大陸上部の現役部員が渡辺正昭駅伝監督の暴言や暴力を告発。学友会の聞き取り調査で「胸ぐらをつかむ」といった行為が複数報告された。人格を否定するような発言もあったことが確認され、渡辺駅伝監督は解任に。

サッカー

×