大渋滞で大遅刻、森保ジャパン連勝もストップ

スポーツ報知
すっかり日は落ち、雨も降る中、ナイター照明のついたスタジアムに日本代表を乗せたバスが到着した(カメラ・相川 和寛)

◆国際親善試合 日本1―1ベネズエラ(16日・大分銀行ドーム)

 森保ジャパンの連勝が3でストップした。世界ランク29位のベネズエラ代表と対戦し、1―1で引き分けた。前半39分、DF酒井宏樹(28)=マルセイユ=が初ゴールを決めて先制したが、後半36分にPKを決められて追いつかれた。新記録となる森保一監督(50)就任後から国際Aマッチ4連勝はならなかった。交通渋滞で会場入りが遅れるアクシデントに見舞われる中、収穫と課題がある一戦となった。MF南野拓実(23)=ザルツブルク=をはじめとする新BIG3は不発に終わった。

 森保監督が選手に言い聞かせた「対応力」が実った。前半39分、右サイドで得たFK。MF中島のクロスはゴールを越え、一番遠いところのDF酒井へ。最後は右足ジャンピングボレーでネットを揺らした。「先制点を取って、試合を優位に進められたことは良かった」。指揮官はベンチ前でいつも通り柔和な笑みと、拍手をピッチに送った。

 アクシデントから始まった。会場周辺の交通渋滞でチームバスの会場入りが遅れた。通常は試合開始90分前だが、到着したのは41分前。先発メンバーは、ピッチで試合前のウォーミングアップができず、室内で体を温めた。若い選手が多く、慌てる者、準備が遅れる選手がいてもおかしくない空気を察知して、主将DF吉田がロッカールームで言った。

 「アジア杯でも何が起こるか分からない。どういう状況でも集中しなきゃいけない。これを言い訳にはしないぞ」

 準備の時間が短く「難しい状況だった」(南野)、「しんどかった」(酒井)、「前線がきついように見えた」(吉田)と影響はあったのは事実だ。だが、日頃から森保監督は「何が起きても臨機応変に対応できるように」を求めていた。さらに「うまくいかないことは、海外で当たり前」(大迫)という海外組が先発の9人を占めていた。吉田の言葉に呼応する下地はあった。

 森保監督は試合後、感謝の言葉を並べた。バスを導いた地元警察、道をあけてくれた地元住民には「おそらく試合に間に合わないことになっていた。道をあけてくださって、試合ができる。時間内に到着させてくださった。感謝したい」と。選手には「最善の準備をしてくれた。集中した入りをしてくれた」。

 ただ、ピッチ内では課題が残った。終盤にPKから同点に追いつかれ、ドロー。チャンスを生かせなかった。「(先発の前線4人とは別に)もう1セットくらい、選手層の幅と質をアップできるように」とベンチ組の連係向上を課題に挙げた森保監督。来年1月のアジア杯を制するためには対応力だけではなく、チームの底上げも必要だ。(内田 知宏)

 ◆渋滞ドキュメント

 ▽午後4時30分頃 スタジアムに向かう車と金曜夜に帰宅する車で大分市内が混雑し始め、自然渋滞が発生。その後、スタジアム最寄りの東九州自動車道大分米良インター付近で追突事故が発生したことも重なる。

 ▽同5時15分 日本代表が同6時に到着するように宿舎を出発。本来は15~20分で着くが、混雑を見越して早めに時間を設定。宿舎近くのインターから東九州自動車道に乗るも渋滞に巻き込まれる。

 ▽同6時3分 DF槙野が「大渋滞でスタジアム入りできていない。皆さんの力が必要です。バスを通してください。すいません…お願いします」と車内からツイート。他にもDF吉田が自身のツイッターで「大分自動車道スタジアムへ向かうみなさん右側車線あけてください!」と訴える。

 ▽同6時30分頃 サッカー協会から要請があり、日本とほぼ同時刻に出発したベネズエラのバスをパトカーが急きょ先導を始める。

 ▽同6時44分 ベネズエラのバス、審判団がスタジアムに到着。

 ▽同6時49分 日本のバスがスタジアムに到着。

 ▽同6時58分 ベネズエラがウォーミングアップを開始。

 ▽同7時4分 日本のGK3人がアップを開始。

 ▽同7時5分 続けて日本のサブ組がピッチ上でアップを開始。先発組は室内で調整。

 ▽同7時14分 アップは通常は約30分行うが、関係者からの指示で両チームともに引き揚げる。

 ▽同7時33分 予定通りキックオフ。チケットは完売も、空席部分も目立ち、観衆は7割程度。

 ▽同8時20分 ハーフタイム中でも、遅れてきた観客がスタジアムに入っていく。

 ▽同9時15分 試合終了。収容人数4万人に対し、観衆は3万3364人だった。

 ◆日本代表の主なアクシデント

 ▽イラク戦争 03年3月下旬、米国遠征でウルグアイ戦、米国戦を予定も出国前に断念。同28日に国立でウルグアイ戦のみ開催。

 ▽レーザー光線 13年3月26日、ブラジルW杯アジア最終予選の敵地、ヨルダン戦でGK川島永嗣、MF遠藤保仁らが相手サポーターからレーザー光線を浴びせられる。

 ▽東日本大震災 11年3月25日のモンテネグロ代表戦が中止に。同29日のニュージーランド戦は国立から長居に変更し、Jリーグ選抜との復興支援慈善試合を開催。

 ▽北海道胆振(いぶり)東部地震 18年9月7日のチリ戦が中止に。チーム集合後の中止決定は初めて。

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