アジア杯に向けセットプレーに磨きかける…ハリル体制から被ファウル数増加

スポーツ報知
ランニングで汗を流す中島(右は堂安)

 サッカー日本代表が1―1で引き分けたベネズエラ戦から一夜明けた17日、愛知県豊田市に移動し、キルギス戦(20日・豊田)に向けて練習を開始した。ベネズエラ戦ではMF中島翔哉(24)=ポルティモネンセ=のFKからDF酒井宏樹(28)=マルセイユ=が代表初ゴール。森保体制4戦目でセットプレーから初得点が生まれた。絶対的キッカーがいない中で、FKが新たな武器になるのか検証した。

 ベネズエラ戦から一夜明け、柴崎や中島ら主力組はランニングなど軽めに調整した。早朝移動もあったが、一様に軽い足取りで取材エリアに現れ、先制点を生んだFKの場面を証言した。

 前半39分。FK地点に小走りで向かう中島は、すれ違った柴崎から耳打ちされた。

 柴崎「(酒井が)ファーを狙ってと言っているから」

 酒井「ゾーンディフェンスで守る相手は走り込んでくる相手に弱い」

 酒井―柴崎とつないだ伝言を聞いた中島はファーサイドに正確に蹴り、酒井の代表初ゴールを生んだ。

 森保体制4戦目で、セットプレーから生まれた初得点。南野、中島、堂安の新BIG3の仕掛けで相手からファウルをもらい、直接FKの回数は増えた。ハリル体制では1試合平均11・4回だったが、森保体制では14・5回になった。

 現状のキッカーは、右の中島、左の堂安。だが、吉田麻也が「(前体制から)引き続き、本物のキッカーはいない」と言うように、中村俊輔や遠藤保仁のように“一撃必殺”の精度を持つ選手はいない。キックの質は、一朝一夕で向上しない。ならば、どうするか。吉田は「工夫」を挙げた。

 吉田「南米やアジアはショートコーナーでマークがずれるし、工夫しながら。統計的にみてもセットプレーからの得点は多い。武器にしなければいけない」

 ベネズエラ戦のように離れた位置に選手がいても、味方を介し意図を伝えるのも工夫の一つ。ショートコーナーや素早いリスタートで揺さぶるのも一つ。選手間で同じイメージを描けばチャンスは広がる。187センチの吉田と188センチの冨安と世界基準の高さもある。

 来年1月のアジア杯では、日本は他国から徹底マークされる立場。セットプレーが武器になれば新BIG3の仕掛けをファウルで止めにくくなる相乗効果が生まれる。セットプレーからの初得点は、森保ジャパンの可能性を広げるワンプレーだった。(田中 雄己)

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