山中に痛感させた「差」 森保監督の「種まき」でキルギス戦を読み解く

スポーツ報知
キルギス戦でプレーしたリオ五輪世代の(左から)山中、中島、南野

 森保ジャパンが20日のキルギス戦(豊田)で4―0と勝利し、チーム発足後4勝1分けの無敗で年内の5試合を終えた。海外組(主力)と国内組(控え)の差が浮き彫りになった一方で、森保一監督(50)は外国人監督にはなかった長期的視野で「種をまく」作業にこだわってきた。その狙いに選手の言葉で迫る。

 ハリルホジッチ監督なら「だから国内組は」と当たり散らしたことだろう。アギーレ監督はその是非には触れず、次回の招集で何事もなかったかのように、選手を入れ替えたと思う。ザッケローニ監督は国内組を試すことすらしなかったかもしれない。森保監督はこの2試合を振り返って「感じたことを自クラブに持って帰って、成長につなげてほしい」と言った。

 FW大迫、MF南野、中島、堂安ら主力組が先発したベネズエラ戦(16日・大銀ドーム)。彼らがベンチに下がると質が落ちた。キルギス戦では途中からピッチに立つと、パスの方向が横から縦に変わり、取るべくして2点を奪った。来年1月のアジア杯(UAE)に向けた選考に使った2試合。主力とベンチ、海外組と国内組の差が浮き彫りになった。

 当然と言える。大迫は海外組のメリットとして、鹿島時代から数倍以上にはね上がった年俸より先に「練習」を挙げる。「この激しい練習は国内では味わえない」。練習から試合同様の激しさがあり、本気でぶつかり合うことで判断、パスの速度が上がる。だからみんなが「海外へ行け」と口をそろえる。一日一日が積み上がり、あれだけの差として表れる。

 ただ、森保監督は「グループには力の差があって普通」と覚悟していたフシがある。W杯8強入りを目指す上で、総合力を上げなければ届かないことを、コーチとして同行したロシアW杯で経験している。「(Jクラブで招集していない)他の選手たちへの刺激にもつなげてほしい」と話す言葉は、契約面で毎年が勝負となる外国人指揮官とは視野も視点も、その思いも一線を画す。

 この合宿期間中、DF山中は言った。「(南野)拓実君とは(15年リオ五輪アジア)最終予選以来ですけど、本当にうまくなっていた。トラップ、シュートとか基本的な部分がすごい。(遠藤)航君も本当にうまくなっていて驚いた」。アジア杯だけを見据えれば「足りない」。でも、そう感じさせたことが森保監督のまいた種だとしたら―。「差」から生まれた花が、日本を強くするかもしれない。(内田 知宏)

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