原口元気、ゴール前猛突進でPK奪った決めた「このままじゃ決勝Tで勝てない」

スポーツ報知
前半28分、自ら得たPKを決める原口(カメラ・竜田 卓)

◆アジア杯▽1次リーグ第2戦日本1―0オマーン(13日、UAE・アブダビ)

 MF原口元気(27)=ハノーバー=が前半28分に自ら獲得したPKを決め、今大会初ゴールでチームを1次リーグ突破に導いた。MF中島翔哉(24)=ポルティモネンセ=の負傷離脱で左MFのレギュラーに返り咲いた男が、PKキッカーの1番手でもあったFW大迫勇也(28)=ブレーメン=が負傷欠場の危機に決勝点を挙げた。

 ボールを拾い上げ、原口は迷いなく堂々とPKスポットへ向かった。0―0の前半26分。ゴール前のこぼれ球にいち早く反応すると、DFに倒されてPKを獲得。自らつくりだした先制のチャンスに、覚悟は決まっていた。ファインセーブを続けていたオマーンGKのF・ルシェイディと向き合っても、表情は変わらず冷静そのもの。同28分に右足を強く振り抜き、ゴール左隅へと力強く先制点をたたき込んだ。

 「内容はよくなかった。このままじゃ決勝トーナメントで勝てないと思うし、チームとしても個人としても、精度を上げないと」

 試合後は厳しい言葉が口をついたが、苦しい戦いの中で存在感は際立った。この試合、初戦で2ゴールを挙げたFW大迫が右でん部痛の再発で欠場。本来ならPKのキッカーも務める不動の1トップが不在の中、重圧のかかる役目を担った。大会前、2列目のポジション争いではロシアW杯後に台頭したMF中島、南野、堂安の若い3人に次ぐ“4番手”の位置付け。しかし中島の負傷離脱で左MFのレギュラーをつかむと、初戦でみせた1アシストを含む2得点に絡む活躍に続き、この試合でも勝利に貢献してみせた。

 昨年のロシアW杯では、決勝トーナメント1回戦のベルギー戦で得点を挙げるなど主力として活躍し、ベスト16進出に貢献。しかし今大会前には控えに甘んじる可能性もあった自らの立場に、静かに闘志をかき立てていた。「W杯が終わって、しばらくレギュラーでいけるかなと思った矢先…こんなことになって。ベストメンバーの中に、自分の名前がないことには悔しさしかない。でも昔から、こういう状況の方が好きなんで」

 ロシアW杯に向けた4年間でも、最初からレギュラーを与えられたわけではなかった。日本代表の“顔”だったMF本田圭佑、リオ五輪世代のFW久保裕也らとの激しいポジション争いを制し、本大会では先発の座を勝ち取った。若かりし頃は勝ち気なプレースタイルでならしたが、経験を重ねて攻守で奮闘する泥臭いプレースタイルでのし上がってきた背番号8。勝負強く、頼もしい。そんな言葉が似合う選手になってきた。(金川 誉)

サッカー

×