森保ジャパン「マリーシア」見せた 退屈な試合こそ進歩…担当キャップが読み解く

スポーツ報知
練習する選手たちの動きを見つめる森保監督(カメラ・竜田 卓)

◆アジア杯 ▽1次リーグ第2戦 日本1―0オマーン(13日、UAE・アブダビ)

 日本代表は13日、オマーン代表に1―0で勝利し、1次リーグ2連勝で決勝トーナメント(T)進出を決めた。前半28分にMF原口元気(27)=ハノーバー=が自ら得たPKを決めた。MF南野拓実(23)=ザルツブルク=が4度の決定機を外し、後半は抑揚のない展開に終始した。FIFAランク82位の格下相手の「つまらない試合」から見えた成長と課題を、内田知宏キャップが「読み解く」。日本代表は14日、サブ組を中心にアブダビ近郊で練習を行い、ウズベキスタン戦が行われるアルアインへと移動した。

 森保一監督(50)は困惑しているようだった。試合後の会見で「後半は攻撃が停滞しボールを持たれた。原因は」と質問を受けた。少し考えてから、劣勢の相手が攻勢に出るのは「(よく)ある」と言った。ハーフタイムに「リスク管理をしながら2点目」という策を伝え、狙い通りの展開に持ち込んだが「苦戦」と受け止められたから、間を取ったように感じる。

 ペナルティーエリア内か微妙な位置でPKを得て、それが決勝点となった。逆にDF長友のハンドは見逃され、勝利に近づく。特に1点をリードしてからはゴール前の攻防が減少。格下を相手にするサッカーとしては「つまらない」。試合が深夜帯ということも手伝って、途中でテレビを消した人もいただろう。

 ただ、意図的に試合をつまらなくしたのは、オマーンでも、主審でもなく、日本だった。「なるべく変な奪われ方をしないように、カウンターを受けないようなパス回しを心がけた」と司令塔役のMF柴崎。ドロー以上で決勝T進出が決まり、次戦ウズベキスタン戦は先発メンバーを大幅に入れ替えられる。先を見越した方策で、攻守のリスクを減らし、見事に退屈な試合を作り上げた。

 これまで時間や状況を考えずに、パスを回し、ゴールを目指すことが多かった。ロスタイムの悲劇はロシアW杯ベルギー戦で味わったばかり。試合をつまらなくする。試合を壊しにいく。足りないと言われ続けた「マリーシア」(ずる賢さ)の一種。試合をコントロールする力と判断力が求められ、強い国には必ず備わっている戦い方だ。

 FW武藤が時間帯や状況を考えずに、突破を試み、パスミスしたのは言語道断だが、アジアの中とはいえ、こうした大人のサッカーを展開できたのは収穫。「アジア相手だから1―0じゃ満足できないというのは僕は違うと思う。しっかり0で抑えられた。厳しい戦いを勝ちきれたのはよかった」とMF堂安は言った。

 森保監督は次戦のウズベキスタン戦で多くの控え選手を送り出す方針だ。敗れれば決勝T1回戦で強豪オーストラリアとの対戦が濃厚となるが、優勝を目標に掲げ、「つまらない」サッカーを指示した指揮官は2試合先のことなんて、見ることはしない。サブ組中心でもウズベキスタン戦で勝利への道を探し、1位突破で頂点への階段を上っていく。(内田 知宏)

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