武藤、3年3か月ぶり弾!「自分にとって大きいもの」 森保ジャパン逆転3連勝で1位突破

スポーツ報知
笑顔を見せる(左から)室屋成、勝ち越しゴールの塩谷司、同点ゴールの武藤嘉紀、青山敏弘

◆アジア杯▽1次リーグ第3戦 日本2―1ウズベキスタン(17日、UAE・アルアイン)

 日本代表はFW武藤嘉紀(26)=ニューカッスル=のゴールなどでウズベキスタンに2―1で勝利し、首位で1次リーグ突破を果たした。武藤は15年10月13日のイラン戦以来、約3年3か月ぶりの得点。右でん部痛のために欠場したFW大迫勇也(28)=ブレーメン=を除くと、日本代表で1トップに入った選手の得点は、17年12月16日の東アジアE―1選手権・韓国戦のFW小林悠(31)=川崎=以来、約1年1か月ぶりとなった。日本代表は21日午後8時の決勝トーナメント1回戦で、カタールまたはサウジアラビアと対戦する。

 意地があった。結果で示すしかなかった。岩山に囲まれたスタジアムには、先制したウズベキスタン・サポーターの歓声だけが響いていた。そんな前半43分。右サイドからのクロスに、大会初先発の武藤が、体をいっぱいに伸ばしてヘディングで合わせた。代表戦約3年3か月ぶりのゴール。「長い間、お待たせしましたって感じです。これで自分自身、吹っ切れたところもある。自分にとっても、大きいものなんじゃないかなと思います」。その後もオマーン戦から先発10人を入れ替えた攻撃陣をけん引し、逆転勝利の立役者となった。

 今大会は不動の1トップFW大迫が右でんぶ痛を抱え、この試合も含め2試合連続で欠場。ロシアW杯でも得点した大迫を除くと、日本代表の1トップは17年12月のFW小林以来、1年以上もゴールがない状態が続いていた。“大迫依存症”。叫ばれ始めたそんな言葉を、世界最高峰のプレミアリーグで戦う男が、受け入れるわけにはいかなかった。

 F東京からマインツ、そしてニューカッスルと、所属クラブでは順調なステップアップを果たした一方、代表では力を発揮できずにいた。自身初の国際大会だった15年アジア杯は、当時22歳の新エース候補として出場したが、敗れた準々決勝・UAE戦で何度も決定機を外し、戦犯扱いを受けた。ハリルホジッチ監督下では代表に定着できない時期が続いたが、西野朗体制で挑んだロシアW杯はメンバーに滑り込み。しかし先発したポーランド戦、エゴイスティックなプレーが裏目に出てチャンスをことごとく潰し、国民のため息を誘った。

 「(W杯は)僕らが3戦目で負けてしまって。かなり、非難もされて。こういう思いはもう2度としたくないと思いましたし、きょうは内容うんぬんより、結果で応えなきゃ行けないという思いはありました」

 “代表では輝けない男”。FW浅野の負傷により追加招集された今大会を、そんな汚名を晴らす舞台に定めていた。「代表に入ると点がとれない時期が長く続いて、自分自身悩んだ時期もあった。でも試合前、原口選手からおまえらしさを全部出せば、絶対に決まるからと言われて。本当に後押しになりましたし、うれしかったですね」。試合後にはチームメートの支えも明かし、嬉しそうにほほえんだ。

 周りを生かすポストプレーヤーの大迫が“柔”なら、直線的なスピード、強さを持ち、この日のように点で合わせるプレーも得意な武藤は“剛”のストライカーだ。「結果を出したら、そこにボールはついてくると思うので。今日、結果が出たのは大きいです。きょうは誰が出ても、戦えるというのを見せられた」。決して大迫の代わりではない。アジア制覇を目指す森保ジャパンの武器として、その存在価値を示してみせた一戦だった。(金川 誉)

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