柴崎岳、一発勝負で輝く「代表が今後どうなっていくべきか、大切な大会」

スポーツ報知
ボール回しで調整する柴崎(左は佐々木=カメラ・竜田 卓)

 日本代表は21日、決勝トーナメント(T)1回戦でサウジアラビア代表と対戦する。20日、シャルジャで森保一監督(50)が公式会見に臨み、前日練習を行った。ボランチで先発が見込まれる司令塔MF柴崎岳(26)が一発勝負での強さを生かし、チームを優勝へ導く決意。将来的なW杯優勝を目指す上で重要な大会になると位置づけた。

 MF柴崎はUAE入り後からいつもそうしているように集団走の左前方、先頭を走った。これからは1つのミスが敗退に直結する一発勝負に突入する。相手は中東の雄、サウジアラビア。練習後には、アジアサッカー連盟(AFC)の取材に「いつ当たるにしろ勝たなきゃいけない相手なのは間違いない。今の日本の持てる力をすべて出せれば必ず勝てる」と誓った。

 ギリギリの勝負でひときわ輝く。16年クラブW杯決勝、Rマドリード戦での2得点。12年ナビスコ杯(現ルヴァン杯)は決勝でMVPを獲得した。18年ロシアW杯ベルギー戦でのアシストは記憶に新しい。「結果が良くも悪くもありのままの自分」と言い、良い結果を手にするために日々「100%で」という積み重ねが、力を発揮したい試合で結果を連れてくる。

 そして、広い視点を持つ。小学校の時から「Jリーガーになるために」と逆算して進路や練習方法を選んできた。鹿島加入時には、日本代表や海外でプレーすることを前提に、一つ一つの課題に向き合った。ロシアW杯16強に貢献し、スペイン1部に籍を置く。代表で中軸となった今、考えることがある。

 「W杯優勝に進んでいく中で、僕が生きている中でできないかもしれないけど、100、200年後に日本が達成するとしたら、その道のりの中で自分が何ができるのか。代表が今後どうなっていくべきか、個人的にもチームとしても大切な大会」

 日本が進むべき道は「個」を強くする方向だとされてきたが、ロシアW杯では個で対抗せず、決して守備的でもなく、組織で攻撃的に戦うことに光を見いだした。西野朗前監督(63)からバトンを受けた森保監督も攻撃的な路線を継承している。その方向性をより強めていくには、アジア杯優勝が必要だと、柴崎は考える。

 初戦のトルクメニスタン(9日)では、パスが相手に引っかかる場面もあったが、オマーン戦(13日)では尻上がりのプレーで勝利に貢献した。「新チームになった日本にとっては、公式戦でサウジアラビアのような強いチームと当たって、もし勝利することができれば、大きな財産にも経験にもなる」と柴崎。強い覚悟を積み重ね、高いところを見据える日本の司令塔が、頂点への道を照らす。(内田 知宏)

 ◆柴崎のトーナメント戦での活躍

 ▽鹿島 16年12月のクラブW杯決勝Rマドリード戦で2得点。チームは2―4で敗れたが、17年の海外移籍(スペイン2部テネリフェ)につなげた。12年ナビスコ杯決勝の清水戦では2得点し大会連覇に貢献。大会MVPにも輝いた。

 ▽日本代表 15年1月のアジア杯準々決勝UAE戦で途中出場から同点ゴール。PK戦でも3番目のキッカーとして成功させた。(チームはPK戦で敗退)。18年ロシアW杯決勝T1回戦のベルギー戦では、絶妙なスルーパスでMF原口の先制ゴールをアシストした。

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