思わず感じた「香川がいれば…」大迫頼み脱却へ、堂安と南野は「うまさ」の習得を

スポーツ報知
前半、攻め込む(左から)南野拓実、堂安律(カメラ・竜田 卓)

◆アジア杯 ▽決勝 日本1―3カタール(1日、UAE・アブダビ・ザイード・スポーツシティスタジアム)

 日本(FIFAランク50位)がカタール(同93位)に1―3で敗れ、2大会ぶり5度目の優勝を逃した。攻守で相手への対応が後手に回り、前半12、27分に失点した。後半24分にMF南野拓実(24)=ザルツブルク=が今大会初得点で反撃するも、同38分にPKから3失点目。初めて先発11人を海外組で臨んだが、5度目の決勝戦で初黒星を喫した。1か月、現地で取材に当たった担当記者が、優勝を逃した背景を「読み解く」。

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 大会を通じ、どこか攻撃がかみ合わない部分が気になっていた。準決勝のイラン戦をFW大迫勇也の2ゴールなどで快勝したことで、“もやもや”から目をそらしたまま決勝へ。結果、決勝では大迫を封じられ、1得点のみで敗退。日本は計7試合で総得点12に対し、カタールは19。破壊力の差は歴然だった。

■かつての10番の「うまさ」

 決勝で攻めあぐねる日本を見て、MF香川真司がいれば…と思ってしまった。リードして中央を固めるカタールに対し押し込みながらもゴール前で精度が低く、1点を奪うまでに時間がかかった。狭いスペースでのターン、トラップ、パスが合えば決定機となる場面はあった。どれも香川が得意としていたプレーだったので、ついかつての背番号10を思い出してしまった。

■不完全燃焼だった「こわさ」

 代表を取材してきた中で、最も「うまい」と感じた選手は香川だ。高い技術を生かし、自らも周囲も輝かせるボールタッチには、いつも拍手を送りたくなった。一方で今大会、新たに2列目の核に期待されたMF堂安律、南野拓実は、どん欲にシュートまで持ち込む「こわい」選手。その点は香川より上だと思っていた。だが大会を通じ堂安2点、南野1点。特徴が出た場面もあったが、彼らも不完全燃焼だろう。

■「こわさ」を引き出す「うまさ」

 今後、大迫だけに頼らない攻撃パターンの構築が必須だ。堂安は「もどかしさは感じています。自分の中で一発は持っていると思っていたんですけど、なかなか振り切れず。いつ、どこで出すのか。特徴を逆算して考えていかないと」と課題を挙げた。ゴールを狙い続ける「こわさ」と得意な形に持ち込む「うまさ」も兼ね備えれば、ふたりは必ず日本の武器になるはずだ。その上で、今回負傷で辞退したMF中島翔哉や、代表復帰の可能性も十分にある香川も含めた新たな競争が生まれた時、22年W杯へ向けた“最適解”は出るはずだ。(金川 誉)

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