JFL女川、王者ホンダFCを苦しめた「立ち向かっていくことが未来につながる」

2018年3月12日7時0分  スポーツ報知
  • 開幕戦で奮闘した女川・成田主将(左端)

 ◆JFL第1ステージ第1節 ホンダ2-1コバルトーレ女川(11日、静岡・ホンダ都田サッカー場)

 今季から昇格したコバルトーレ女川は、2連覇中のホンダFCと敵地での開幕戦で対戦し、1―2と惜敗した。2011年の東日本大震災でクラブハウス全壊などの被害を受け、1年間の活動休止を余儀なくされたチームだが、7年の時を経て新たなステージに参戦。2点をリードされる苦しい展開のなか、後半8分、MF黒田涼太(27)が直接FKを決め、王者を慌てさせた。女川は17日の滋賀戦(アウェー)で初勝利を目指す。

 どんな相手でも関係ない。女川イレブンは最後まで「走りきるサッカー」を貫き通し、JFL2連覇中の王者・ホンダFCを苦しめた。守備面では前線から相手のマークに入り、何度もチャンスの芽をつみ取っていった。1―2と金星は奪えなかったが、村田達哉監督(45)は「チーム全員で戦えた。勝ち点3を取れたら最高だったけど、ひたむきな姿勢は皆さんに見せることはできたと思う」とイレブンをたたえた。

 東日本大震災から7年。選手は復興途上の女川町とともに歩んできた。11年はクラブの活動を休止。津波で流れ込んだゴミの清掃に加え、給水タンクをトラックに積んで、水不足などに困窮した町内を回り、水や食料を配ったこともあった。当時からプレーしている選手はFW吉田圭(30)とMF成田星矢主将(31)の2人だけとなったが、シーズンのたびに被害を受けた町の様子を全員で見に行くなど「女川とともに進む」という気持ちをイレブンの共通認識としてきた。

 後半8分に右足で直接FKを決めた黒田も、震災当時は仙台大の学生。練習後に被災し「グラウンドは地割れが起き、その後1週間は停電だった」という。女川入団後は地元新聞社の営業マンとして、現地を動き回りながら練習に参加。記念すべき1号にも「自分だけじゃなく、チーム、そして応援してくれる皆さんで取れたゴール」と感謝した。

 将来的にはJリーグ入りを目指す女川にとって、王者への善戦はその第一歩。「今日のように立ち向かっていくことが未来につながる」と村田監督。全員サッカーで、復興のシンボルになる。(遠藤 洋之)

 ◆成田主将「女川を全国に発信していきたい」

 試合前、センターサークルに両チームの選手が集まった。1分間の黙とう。MF成田主将は「その瞬間、7年前のことを思い出した」と大震災発生からの日々を頭に浮かべた。だが、主審の笛が鳴った瞬間からは試合に集中。後半36分に交代するまで攻守に存在感を見せた。JFL王者と接戦にも「点差を見るとよくやったかもしれないけど、力の差はあった。次は結果にこだわってやっていきたい」と悔しさを口にした。

 普段はかまぼこ製造会社に勤めながら、練習は仕事が終わってからの夜2時間だけ。それでも、震災からチームに所属するメンバーの1人として、避難所に水を運んだり、排せつ物処理など、復興作業も手伝ってきた主将は「女川を全国に発信していきたい」という強い気持ちをチームメートに落とし込んできた。約8か月の長丁場。まずは初勝利に向けて「試合ごとに成長できるようにしてきたい」と誓った。

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