【鹿島】ジーコ魂1勝 執念のロスタイム弾!「全力尽くしたものが必ず報われることを示した」

スポーツ報知
試合前にピッチに出てファンにあいさつした鹿島・ジーコTD

◆明治安田生命J1リーグ第20節 鹿島1―0清水(5日・カシマ)

 鹿島はテクニカルディレクター(TD)に就任したクラブOBで元日本代表監督のジーコ氏(65)の帯同初戦で、DF西大伍(30)が後半ロスタイムに決勝点。「ジーコ・スピリット」を体現する粘りで清水を1―0で下し暫定6位に浮上した。首位・広島は湘南に2―2で引き分け。2位・F東京は神戸を1―0で下し勝ち点5差に接近した。1試合消化の少ない3位・川崎はFW小林悠(31)が2得点でクラブ日本人最多の通算86得点。横浜Mを2―0で下した。

 0―0の後半ロスタイム。ファーサイドからの折り返しにDF西が飛び込む。同時に相手選手2人だけでなく、背後のDF内田とも動きが重なる、ボール1つの落下地点を巡る大混戦。それでも西の右足は確実にボールを捉えた。「どれだけ我慢できるかだと。みんなが最後までやり続けた」と充実感に満ちた表情で語った。

 試合開始前にGK権が負傷し欠場。FW鈴木にボールが集まらず攻撃の組み立てに苦戦し、中盤はMFレオシルバの孤軍奮闘状態。相手シュートはポストを2度たたいた。それでも最後の笛が鳴るまで必死に攻め続けた。勝利への執念。スタンドから見守ったジーコTDは「全力を尽くした者は必ず報われることが示された」とたたえた。

 「ジーコ・スピリットが薄らいできていると感じることがあった」。クラブ幹部はジーコTDの16年ぶり入閣の理由をこう説明した。昨季は終盤の大失速でV逸。今季も8強入りしているACLとの過密日程に苦しみリーグ戦9位。クラブはJ最多19冠を生んだ、勝利への執着心を取り戻す必要性を感じていた。

 試合前日の4日、合流したジーコTDはさっそく説いた。「『また次に頑張ろう』では気付けばキャリアが終わってしまう。きょう頑張るんだ」。DF内田が「原点に戻れる」、DF安西は「鹿島のエンブレムを背負う意味を考えさせられた」と話し言葉は選手の胸に突き刺さった。「見ての通り。単純で当たり前のことをやり続けた結果」とジーコTD。常勝軍団が伝統の勝負強さを取り戻した。(岡島 智哉)

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