夏の勝ち組、負け組はどのクラブ? J1クラブ、夏の補強戦略を検証

スポーツ報知
神戸に加入したイニエスタ

 8月17日、Jリーグでは移籍ウインドーが閉じ、例外を除いて各クラブ今夏の補強を終了した。神戸が元スペイン代表MFイニエスタ、鳥栖が同FWフェルナンド・トーレスを獲得し、大きな話題となった今夏。18年夏の補強戦略において“勝ち組”と“負け組”を検証した。

 まず勝ち組の最上位は、イニエスタを獲得した神戸だろう。2戦連続で決めたスーパーゴールに加え、それ以外のプレーでも味方の特徴を引き出すプレーで、チームのレベルを大きく引き上げた印象もある。さらにJ2岐阜から獲得したスピードあふれるサイドアタッカー・MF古橋、J2徳島から獲得したボールさばきにすぐれた大型センターバックのDF大崎も、レギュラーポジションを奪おうとしている。楽天・三木谷会長の存在もあって資金面で突出している点が大きいが、ACL圏内(3位以内)を狙って戦力を増強した今夏の補強はほぼ満点と言えるだろう。

 神戸に続くのが、残留争いに巻き込まれている名古屋だ。柏からDF中谷、F東京からDF丸山と能力の高いセンターバックを2人も加え、サイドバックに横浜MからDF金井、さらに川崎からMFネット、前線にもJ2松本からMF前田と能力の高い選手たちをかき集めた。こちらも多額の資金を投入したが、絶対にJ1に残留するという強い思いを補強面でも示した。その結果、チームは8月1日の仙台戦から4連勝で、降格圏を脱出。先発の約半数が今夏の新加入組と、低迷した前半戦とメンバー構成は大きく変化している。

 また、鳥栖もFWトーレスだけにとどまらず、鹿島からFW金崎、韓国・蔚山現代からFW豊田を復帰させるなど前線に実績のある選手を次々と補強。長崎もオランダ人DFバイス、新潟からMF磯村らを獲得するなど、計4人を補強。残留争いから抜け出そうという必死さが補強面でも現れた。

 一方で残留争いに苦しみながらも、思うような補強がかなわなかった“負け組”の筆頭がG大阪だ。日本代表FW宇佐美の復帰と、C大阪の元日本代表FW柿谷の獲得を目指したが、ともに失敗。その後も狙いをつけた選手との交渉にことごとく失敗した。一方でクルピ監督を解任し、宮本新監督に託すというテコ入れを実施。新指揮官の就任後にJ2山口からMF小野瀬、神戸からFW渡辺を獲得したが、補強はこの2人のみ。第22節を終えた時点で最下位と、苦しい戦いを強いられている。

 広島や川崎といった上位クラブは積極的な補強に動かなかった。積極補強に動いたのは、鳥栖の6人、神戸、名古屋の5人、長崎、横浜Mの4人と、神戸を除けばすべて残留争い中のクラブだ。しかし補強すれば、すべて結果に結びつくとは限らないのもサッカー界の常。夏の補強を経て、その勢力図がどう変化するのか。後半戦に突入するJ1、今後の戦いに注目が集まる。(サッカー担当・金川誉)

 

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