【川崎】中村憲剛V手記「今だから話せますが…」8月に肋骨骨折していた

スポーツ報知
リーグ2連覇を達成し、シャーレを手に笑顔の川崎・中村

◆明治安田生命J1リーグ第32節 C大阪2―1川崎(10日・ヤンマー)

 史上5チーム目の連覇を達成した川崎のMF中村憲剛(38)がスポーツ報知に手記を寄せた。2003年の入団から川崎一筋。今季31試合に出場し6得点を挙げたチームリーダーは、8月に肋骨(ろっこつ)を骨折しながらプレーを続けていたことを明かした。

 目の前の試合に負けてしまったのは悔しいですが、連覇は過去に4チームしか成し遂げていない偉業です。今年は泣いていないということは、自分たちがそれだけ今季を通して成熟し、強くなってきたということだと思います。

 Jリーグ王者として初めて臨んだシーズン。「チャンピオン」という枕言葉が必ずついてきました。「スタートダッシュをかけなきゃ」という思いが強かったリーグ開幕の磐田戦で(富士ゼロックス・スーパー杯、ACLで3戦全敗の)悪い流れを止めたのは大きかった。個人的には1得点2アシストで、シーズンの入りに自分が乗れたな、という感じがしました。

 今だから話せますが、8月の鳥栖戦で左の脇腹のところの肋骨を強打しました。次の週、家でせきをした後、もん絶したんです。試合でひびが入っていたところに、自分のせきでトドメを刺したような…。診断結果は骨折でした。それから約1か月、ユニホームの下にクッション性のカバーを入れてやっていました。相手と当たるのはもちろん、ボール蹴るのはかなり痛かったですね。特に9月のG大阪戦あたりは。肋骨が折れたのは初めてでしたが、意外とできるもんだな、と。今季はけがで離脱しなかったのは大きかったと思います。ちゃんとご飯を食べて、寝て、練習するというサイクルを守るだけでこれだけやれるんだなと38歳になって、再確認しました。

 狙えるタイトルを全部取るという目標があって、新しい選手が加わりましたが、序盤はACLとの並行もあってどうにもチームのエンジンがかからないなという感じでした。こうなったらこう、というパターンでやっているチームではないし、新しい選手には難しいというのはありました。攻守のあうんの呼吸というか、ちょっとしたところですが。最初の約3か月は連戦で、トレーニングに充てる時間もなかったですし。W杯前に等々力で4敗したのは、個人的にはあってはいけないことだと思っています。首位と一時は勝ち点13離れましたが、前半を悪くない3位で折り返し、昨季よりは地力がついたかな、と感じるところもありました。

 チームとしてはこれからタイトルを一つでも増やしていくことが大事です。優勝争いやタイトルを取ることが日常になっていくクラブにしていきたい。今季はACLで1勝もできませんでした。来年に向け、Jリーグ王者として、改善しなければいけないと思います。また、ピッチ内でも外でも面白い、地域に密着したクラブとしてさらに進化していきたいと思います。

 9月の札幌戦でフロンターレでの公式戦通算100得点を達成しました。目の前のことをがむしゃらにやってきた結果だと思います。落ちている部分もあるとは思いますが、それ以上に自分で武器になるところを探し続けてここまで来ました。技術と頭のところは年齢は関係ないと思いますし、それをその都度アップデートというか、アジャストしながらやってきています。

 チームと自分がやりたいサッカーが合致している幸せもあります。選手、スタッフ、フロント、事務所、スポンサー、サポーターの皆さんも含め、クラブに恵まれ、感謝しています。攻撃的にやる、というクラブの哲学もあり、今季も楽しくやれて、2年連続でJの頂にたどりつきました。最高です。(川崎MF)

 ◆中村 憲剛(なかむら・けんご)1980年10月31日、東京・小平市生まれ。38歳。小学校1年で、府中市の府ロク少年団でサッカーを始める。都久留米高(現東久留米総合高)から中大文学部英文科に進学。03年に川崎加入。06年10月4日のガーナ戦で日本代表デビュー。10年南アフリカW杯日本代表。16年にギネス世界記録となるJリーグ最年長MVP(36歳50日)。国際Aマッチ通算68試合6得点。J1通算436試合70得点。175センチ、66キロ。血液型O。家族は妻と1男2女。

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