【二宮寿朗の週刊文蹴】日本サッカー強化のための外国籍枠拡大を

スポーツ報知

 J1を2連覇した川崎には守田英正が、ACLを制した鹿島には安部裕葵がいた。前者は大卒ルーキーのボランチで後者は2年目のドリブラー。2人の伸びしろがチームの伸びしろにもなった。

 ふと、思った。もし川崎のエドゥアルドネットが退団していなければ、もし鹿島のレアンドロがけがで長期離脱していなければ彼らはこの1年、主力として扱われるまでに成長できたであろうか、と。

 Jリーグは来季から外国籍枠を拡大する方向だと聞く。登録枠は現行の「5」から無制限になるそうだ。試合出場及びベンチ入りはJ1の場合「3+1(アジア枠)」から「5(アジア枠含む)」に変更。今季と同様にタイ、カタールなどJリーグ提携8か国の選手は外国籍枠に入らない。海外からいい選手が集まれば、そのチームのみならずJ全体のレベルが引き上がるメリットもあれば、一方で日本人選手の出場機会が減ってしまうデメリットもある。

 出場及びベンチ入り枠は「微増」にとどまったとはいえ、登録枠の制限がなくなった以上、資金力のあるクラブからしてみれば海外のタレントをかき集めることができるルールになったわけだ。ただ、枠に踊らされてはいけない。日本サッカーを強くすることがJリーグの根本にあるはず。そのためには守田や安部のような若手が出てくる環境でなければならない。そこで大切になってくるのはクラブの「姿勢」だ。

 たとえば2トップを採用してきた鹿島はFWの1枚に必ず日本人選手を起用してきた。柳沢敦、鈴木隆行、興梠慎三、大迫勇也…彼らは日本を代表するフォワードに成長した。ルールが変わったところで、鹿島がこのスタンスを変えることはまずないだろう。

 日本人選手の成長を促すための拡大でなければ意味がない。ここの観点だけは、絶対に抜け落ちてはならない。(スポーツライター)

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