【八戸】J3昇格が確実 20日承認で正式決定

スポーツ報知
スタンドのサポーターと「J」ポーズで記念撮影するヴァンラーレ八戸イレブン(カメラ・大好 敦)

◆JFL第2S最終節 八戸3-1宮崎(18日・八戸市ダイハツスタジアム)

 ヴァンラーレ八戸の来季J3昇格が確実となった。ホームのテゲバジャーロ宮崎戦で、残された加盟条件だった年間平均入場者数(2000人以上)をクリア。試合も3―1で、リーグ最終戦白星で花を添えた。葛野昌宏監督(43)は、Jクラブで監督を務めるライセンスを持たないが昇格の立役者となった。20日のJリーグ理事会で承認されれば、J3昇格が正式決定する。東北6県では唯一Jクラブがなかった青森県にとって朗報となりそうだ。

 最終戦セレモニーが終わった後、選手たちの手で八戸・葛野監督が4度宙に舞った。宮崎を破り、JFLの“卒業試合”で勝利だ。年間順位4位以内という成績面昇格条件は、前節でクリア。961人以上が入れば平均入場者数の条件も達成するホーム最終戦は、クラブ史上2番目に多い、今年最多の4075人が訪れてスタジアムをチームカラーの緑で埋めた。

 「今年一番の入りで、勝利で終えられて大変うれしく思う」と葛野監督は笑顔をみせた。Jリーグの平塚(現湘南)などでプレーし、今年監督就任。8月下旬に急性大動脈解離を発症するなど、波乱万丈のシーズンだったが結果を残した。だが指揮官にとって、J3昇格は別れを意味するのだ。

 Jクラブの指揮に必要なJFA公認S級ライセンスを保持していないため、チームがJ3昇格すると指揮が執れなくなる。それでも開幕前に選手と面談した葛野監督は「昇格するためなの? Jでやるためなの? と聞いた。昇格も大事だけど、Jに上がって何ができるかが問題」とプレーする意義を1人1人に説き、プロ意識を高めることを求めた。その熱い思いが選手たちを変えた。

 働きながらプレーする選手がほとんどで、平日の練習開始は早い日で午前8時45分。厳しい環境だが「早い選手は7時には来て準備やケアをする」(葛野監督)。この一戦も前半21分に先制されたが同35分に追いつき、ハーフタイムに立て直して後半2得点。成長を感じさせる試合内容をみせた。

 「チームのベースはこの1年である程度構築できたかな」と指揮官。その考えはずっと残っていくはずだ。監督が代わり戦う舞台も変わる来年も、今年のクラブスローガンのように「全緑(ぜんりょく)」で戦い抜く。(有吉 広紀)

 ◆ヴァンラーレ八戸 2006年に八戸工OBと南郷FCが合流して発足。東北リーグ2部北から始まり、13年に東北1部、14年にJFLへ昇格。JFLでは15年第1ステージ優勝。年間最高順位は15年の2位。チーム名の由来はイタリア語で起源を意味する「デリヴァンテ」と、南の郷を意味する「アウストラーレ」を合わせた造語。チームカラーは緑。

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