【札幌】2点リードからACLスルリ…宮沢「必ずこの悔しさは晴らす」鹿島次第で可能性残す

スポーツ報知
前半21分、ゴールを決め、チャナティップ(左)と歓喜する札幌・ジェイ(カメラ・宮崎 亮太)

◆明治安田生命J1リーグ最終節 札幌2―2広島(1日・札幌ドーム)

 初のACL出場権獲得はならなかった。北海道コンサドーレ札幌は1日、勝てば3位以内となる今季最終の広島戦に2―2で引き分け、4位で2018年シーズンを終えた。前半21分までに2点を奪うもリードを守り切れず、今季最多となった観衆3万4250人の声援に応えられなかった。目標達成はならなかったが、J1での過去最高11位を大きく上回り、初の2年連続残留も果たした。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督(61)は2年目の来季、この日味わった悔しさを晴らしにいく。

 試合終了の笛が鳴った瞬間、札幌イレブンはピッチに崩れ落ち、顔を伏せ、涙を見せた。勝てばACL出場圏内の3位以内に入れた戦いも、2点リードを追い付かれ、目標にはたどり着けなかった。ペトロヴィッチ監督は「選手は全力を尽くして戦ってくれたが、残念ながら勝利という結果を手にすることはできなかった」と届かなかった勝ち点3に、無念の表情を隠さなかった。

 立ち上がりは順調だった。前半3分にMFチャナティップ(25)が先制点を挙げ、同21分にはFWジェイ(36)が加点。しかし、その後に落とし穴が待っていた。DF福森晃斗(25)が「そこで安心ではないが、かわし過ぎてしまった」と気持ちの揺れが生じ、同39分に1点を返された。そこから徐々に広島のペースに。MF宮沢裕樹主将(29)が「こういう立場の試合で勝つという経験のなさが出てしまった」と漏らしたように、J1で初の上位争いが重圧となり、あと1点につながらなかった。

 ただ、決して下を向く結果ではない。J1で初めて2年連続残留を果たし、過去最高11位を大きく上回って1年を終えた。3位で終えた鹿島が天皇杯を制すれば、繰り上がりでACL切符を手にできる。クラブがかねて掲げてきた「J1定着」への階段へは、着実に上っている。宮沢は「今までなかった経験が出来た。これを来年以降に生かして、必ずこの悔しさは晴らす」と来季の雪辱を誓った。

 上積みは間違いなくある。ペトロヴィッチ監督の就任1年目で、かつて「エレベータークラブ」とも評されたが札幌が、J1に旋風を巻き起こした。昨年7月30日、ペトロヴィッチ監督が浦和を解任されると、オファーを出すことを即決。野々村芳和社長(46)は「解説者時代から日本で指揮する監督を見て来た中で、すごいと思ったのは(元日本代表監督の)オシムとミシャ(監督の愛称)。攻撃的サッカーはしたいと思ってもそれが出来ない人がほとんどだが、ミシャはそれを体現できる」と、8月7日に都内で対面。「うちにはミシャが必要」と気持ちを伝えた。

 中国のクラブから高額オファーも届く中、ペトロヴィッチ監督は、札幌の試合をつぶさにチェック。「有望な若手が数多くいる。このクラブは伸びる」と就任を決断。過去の実績にはとらわれない積極起用で、1年目を堂々の成績で終えた。迎える来季へ、ペトロヴィッチ監督は「J1で4位というのは札幌の歴史から見て大きな勝利。来年は更に前進していくと確信している」と手応えを強調した。この日味わった屈辱は、2019年に晴らすための礎とする。(砂田 秀人)

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