【浦和】人の心動かす、オリヴェイラ監督のウィンクと抱擁 担当記者が見た

スポーツ報知
サポーターと一緒に喜ぶ浦和イレブン

◆天皇杯全日本サッカー選手権決勝 浦和1―0仙台(9日・埼玉スタジアム)

 浦和が仙台に1―0で勝利し、7度目の優勝(三菱重工時代を含む)を飾った。今季、主将を務めたMF柏木陽介(30)はスポーツ報知に手記を寄せ、自己犠牲の精神を貫き、苦悩と葛藤の末につかんだタイトルを喜んだ。

 オリヴェイラ監督で思い出すのはウィンクと抱擁。鹿島時代、勝てない時期が続いた時に「先発メンバーを代える考えはないか」と尋ねたら「外にいる人間には分からない」と返ってきた。顔を真っ赤にして唾を飛ばしながら声を荒らげ、怒られることに慣れている私でもひるんだものだ。

 取材が解ける時、視線を感じて彼の方を見ると、笑いながらウィンクしていた。すぐに意味は分からなかったが、次の試合で先発メンバーを大きく入れ替えて浮上のきっかけをつかんだ。それ以降、彼が失敗した時は必ず質問した。「答えたくない」と無視されたこともあるが、最後は決まってウィンクを送る。

 タイトルを獲得した時は、いつも私を抱きしめて「ありがとう」と言ってきた。還暦を過ぎたとは思えないほどの圧迫感は、信頼を感じるに十分なものだった。鹿島時代から選手個々とコミュニケーションを取ることはほとんどなかったが、選手はついていく。「あの人についていけば間違いない」と興梠は言う。演技を交え、勝利に向かって人の心を動かす。浦和でも持ち味を発揮した。(鹿島担当歴16年・内田 知宏)

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