【禍福は糾える縄の如し】(1)浜松開誠館・山田梨功、名前を全国に

スポーツ報知
ピッチの内外でチームを統率するDF山田

 第97回全国高校サッカー選手権(30日開幕、東京・駒沢陸上競技場ほか)に、創部14年目の浜松開誠館が初出場する。来月2日の2回戦から登場し、長崎総合科学大付(長崎)と対戦する。青嶋文明監督(50)の座右の銘「禍福は糾える縄の如し」のタイトルで、開誠館イレブンを紹介していく。第1回は強いリーダーシップで最終ラインを統率する主将のDF山田梨功(りく、3年)。

 初の聖地へ、最終ラインを率いる山田が圧倒的な存在感を見せる。183センチの長身を生かした空中戦では抜群の強さを誇り、ゴール前での体を張ったプレーと、正確なロングフィードも魅力だ。選手権県大会では準決勝(対藤枝明誠)、決勝(対静岡学園)と2戦連続で先制ヘッドを決め、MVPに輝いた山田は「まだ通過点です。開誠館の名前を全国に広めたい」と表情を引き締める。

 1年時から先発出場し、2年時から不動のセンターバックとして堅守を支えてきた。「開誠館に来て、考え方やプレーの組み立てなどサッカー観が大きく変わった」。自身で課題を見つけ、妥協せずに練習に取り組む姿勢を身につけた。今年8月のSBS杯国際ユース大会ではU―18県選抜に選ばれるなど、静岡を代表する選手へ成長を遂げた。

 開誠館にはエースナンバーが2つある。開誠館中出身者は10番。高校から入学した選手は14番を背負う。初代14番は、J1清水のDF松原后(22)。14番を身につけ、主将を任される山田は「歴代の先輩が付けた番号は汚せない。責任と自覚を持つことを、常に自分に言い聞かせています」と強い覚悟を明かす。

 初戦の相手、長崎総科大付にはJ1湘南入りが内定している、U―18日本代表FW鈴木冬一(3年)がいる。世代トップの選手を前に「代表レベルと戦うには、まだ力が足りない。1対1の部分を強化して抑えたい」と、謙虚な姿勢を忘れず、全力で立ち向かう。

 2歳上の姉・明莉さんは明治国際医療大のMFとして、23日に開幕する全日本大学女子選手権に初出場。姉弟で健闘を誓い合った。山田は「全国制覇を目標に準備してきた。積み上げてきたものを全て出したい」。大舞台で完全燃焼し、開誠館に新たな歴史を刻む。(青島 正幸)

 ◆禍福は糾える縄の如し(かふくはあざなえるなわのごとし) 中国前漢の司馬遷撰「史記」から。災いと幸福は表裏一体で、より合わせた縄のように交互にやって来るという意味。成功も失敗も、めまぐるしく変化することなどの例え。

 ◆山田 梨功(やまだ・りく)2000年4月20日、愛知・春日井市生まれ。18歳。5歳からサッカーを始め、中学時代は名古屋FCに所属。U―16県選抜で16年の岩手国体に出場。特技は書道(八段)。家族は両親、兄、姉。183センチ、71キロ。利き足は右。

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