【川崎】MF家長昭博、15年目でついにMVP

スポーツ報知
最優秀選手賞を受賞した川崎・家長(中央)は、場内のファンとタッチを交わし引き揚げた(手前は谷口、奥は中村=カメラ・中島 傑)

 Jリーグの年間表彰式「Jリーグアウォーズ」が18日、横浜アリーナで行われた。最優秀選手(MVP)賞には、J1連覇を果たした川崎のMF家長昭博(32)が初選出された。同一チームから3年連続の選出は史上初。ベストイレブンには、38歳でJ最年長受賞となったMF中村憲剛ら川崎から史上最多タイの7人が選出。東南アジア国籍選手として初受賞となった札幌のタイ人MFチャナティップ(25)ら7人が初選出された。

 名前を呼ばれ、家長は静かに笑みを浮かべ、余韻に浸った。G大阪ユース時代は「天才」と呼ばれた男が、プロ15年目で初のJリーグMVP。得票数で2位のジョーに36票差をつけ、ダントツだった。「6得点7アシストという平凡な記録でもらうのが心苦しいですが」。サポーターの音頭に合わせ、トロフィーを掲げ、2人の息子から祝福を受けた。

 2列目の右サイドを主戦場としてフル回転。32試合6得点だが、チーム最多の7アシスト。中盤から前ではチーム最長の2745分出場だ。MF中村からは「スーパーフリーマン」と呼ばれ、ピッチを自在に動き回りチャンスを演出した。

 特徴は右腕だ。利き足の左でキープする際、右腕で相手の体を押さえ、動きを封じ込める芸当は誰にもマネできない。独自のリズムで攻撃を操り、「家長昭博のテンポを保ちつつ、フロンターレのテンポも持っている」と、中村からも評価される。体脂肪率は9・5%。通常、運動量の落ちる時間帯に爆発的な突破で敵陣に切り込む。ストイックなまでに肉体を磨き上げた。

 2017年に大宮から川崎に移籍した。イベントでバナナのかぶり物をかぶる姿を見て、大宮の関係者たちは口々に「家長は変わった」と話した。だが、本人は変わったつもりはない。ピッチ外では若い選手を食事に連れていき、優勝後のロッカールームではMF斎藤とともにタオルをまわしながら巧みなダンスで盛り上げた。「チームメートにはよくいじられています」と笑う。

 10月の神戸戦(等々力)では、2度続けてPKを失敗していたエースFW小林に、「フロンターレのエースはお前だ」と背中を押した。鬼木達監督(44)は「多くは語らないですけど、背中で語れる選手」と評価する。

 3季連続同一チームからのMVP選出は史上初。「日本ではフロンターレはみんなに認められている存在。でもアジアではまだまだ」。33歳の来季は3連覇を狙うJ1とともに、ACLでも家長ありを印象づける。(恩田 諭)

 ◆家長 昭博(いえなが・あきひろ)1986年6月13日、京都・長岡京市生まれ。32歳。G大阪ユースから、高3の2004年7月にプロ契約。大分、C大阪を経て11年にマジョルカ(スペイン)に完全移籍。蔚山現代(韓国)、G大阪、マジョルカ、大宮を経て17年に川崎へ完全移籍。J1通算272試合40得点。日本代表通算3試合出場0得点。173センチ、70キロ。

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