【甲府】「あくまで目指すのは昇格の2文字」伊藤彰新監督インタビュー

スポーツ報知
色紙に“昇格”と記した伊藤新監督

 2019年シーズンでのJ1復帰を狙うヴァンフォーレ甲府の伊藤彰新監督(46)がこのほど、「スポーツ報知」のインタビューに応じ、来季に向けた思いを語った。今季1年務めたヘッドコーチ(HC)の経験を生かし、いいものは継続しつつ「常に主導権を握れるようにするのが理想」と臨機応変に対応できるチーム作りを目指すと宣言。さらに「(勝ち点などの)数字に踊らされてはいけない。目指すのは昇格の二文字」と、泰然自若の精神で、あくまで最大目標を見続けることを誓った。(取材、構成・三須 慶太)

 来季こそ悲願のJ1復帰をかなえるべく、伊藤氏がHCから新指揮官に昇格した。クラブ側からオファーを受けたとき、心の中ではほぼ即決していたという。

 「甲府は、クラブでひとつになってJ1を目指そうという気持ちが見える選手が多い。一緒にやっていきたい思いがすごくあった。迷うことは全くなかった。監督業は好きですし」

 下部組織やトップチームの指導者を歴任した伊藤新監督。17年途中からは当時J1だった大宮を指揮したが、シーズンはじめから監督を務めるのは初めてだ。

 「それぞれの監督のもとで見てきているし、自分のスタイルにして、どう作っていくか。常に冷静でいなければいけないが、熱くも戦わないといけない」

 吉田達磨、上野展裕両氏のもとで1年間、HCとして支えてきた。J2での戦い方も見えてきている。

 「各チーム、いろんな色がある。でも、自分たちのスタイルは変えてはいけない。変えることでチームが崩れていくと思う。(変えるのは)枝葉のところ。相手のいいところを消しながら、相手の嫌がるところを突いていく。そういう風にしないとJ2は勝ち上がれない。それと、失点の少ないチームが強い」

 1年間携わった今季の甲府の課題も分析している。

 「自分も監督をやっていた中で思うのが、勝ち点1(引き分け)を3(勝利)に、0(敗戦)を1(引き分け)にできるかがすごく大事なこと。今季はそこが難しかった。攻撃なら攻撃、守備なら守備になってしまったことが多かった。攻撃ができるから守備が良くなるし、いい守備があるからいい攻撃ができる」

 周囲はどうしても勝ち点など具体的な数字を気にしがちだ。しかし新指揮官はシンプルに目標を見つめる。

 「今季は松本と大分がそれぞれ勝ち点77と76で自動昇格した。それを超えないと、とは思うが、数字は生き物。踊らされてはいけない。あくまで目指すのは昇格の2文字。再来年に我々がJ1にいるかいないか。それのみだと思う」

 甲府というクラブが今まで築いてきたもの。吉田、上野両氏が取り組んできたものは継承しつつも、新監督自身も目指す理想がある。

 「しっかり守備ができて、ゲームをコントロールできる攻撃的なチームを作っていきたい。その積み上げた先に、主導権を握ってサッカーができる状況にするのが理想。クラブを支えてくださる全ての皆さんと一丸になって戦っていきたい」

 ◆伊藤 彰(いとう・あきら)1972年9月19日、埼玉県生まれ。46歳。武南高、国士舘大を経て富士通(現・川崎)入りし、社員選手として活躍した。2002年に大宮に移籍してプロに。鳥栖や徳島を経て07年1月に現役引退。大宮の下部組織でコーチや監督を歴任し、17年5月~11月はトップチームの監督も務めた。18年から甲府のヘッドコーチに就任。家族は妻と2男。

サッカー

×