【名古屋】楢崎正剛、後継者育成「手助けしたい」語り尽くした引退会見70分

スポーツ報知
引退会見で、横浜F時代の僚友・山口グランパスアカデミーダイレクター(右)から花束を贈られる楢崎(カメラ・小梶 亮一)

 現役引退した元日本代表GK楢崎正剛(42)=名古屋=は11日、名古屋市内で引退会見を行った。報道陣27社82人が集まった中、24年間のプロ生活を振り返り、同時期に引退した川口能活氏(43)や中沢佑二氏(40)への思いも語った。今後は未定だが「GKを育てる手助けをしたい」と後継者育成に尽力する覚悟を示した。

 引退発表から3日。楢崎は晴れやかな表情で、70分間、思いのたけを語った。

 引き際を意識したプロ24年目だった。「最後の1年だと思って臨んだ」。激しい定位置争いで、昨季の公式戦は未出場。リーグ戦は一度もベンチに座れず、シーズン後、複数のJクラブから誘いを受けた。

 「話を聞いていくうちにモチベーションが上がると思ったが、上がらなかった。気持ちが切れたら続けられない」。スタメン表に記載される前所属の欄から「横浜フリューゲルス」の文字を消したくなかった思いもあるが、心残りは、ファンにプレー姿を見せられなかったこと。「別の場所で続けることも考えたが、名古屋で終えられるのも誇り」。20年間在籍したクラブ愛を貫いた。

 「無我夢中」の高卒1年目から定位置をつかんだ。「動」の川口に対し「静」の楢崎らしく「捕れないボールを捕るのではなく、捕れるボールを確実に捕る」と技術を磨いた。10年には被シュート数ワースト2位ながらリーグ3位の37失点に抑え、GK史上初のMVP。「万年中位」とやゆされた名古屋を初優勝に導いた。

 歴代1位のJ1通算631試合やW杯4大会連続選出。大記録を達成できたのは、同時期に引退した盟友の存在があったからこそ。代表で競い合った川口氏には「見本であり、憧れ。彼がいなければ、こんな長くプレーできなかった。特別な存在」と語り、同日に引退発表した中沢氏についても「(00年)シドニー五輪の米国戦では、2人で衝突して流血したけど、まさかこんなところまでバッティングするとは。ギャグみたいですね」と笑わせた。

 今後については「いろいろな話を伺っている」とクラブとの関係を継続することを示唆しつつ「もっとGKを育てないといけないという世間の声を聞くのはつらい。手助けしたい」。義理堅い守護神は「後継者育成」という新たな夢でサッカーへ恩返しを果たしていく。(田中 雄己)

 ◆楢崎 正剛(ならざき・せいごう)1976年4月15日、奈良・香芝市生まれ。42歳。奈良育英高から95年に横浜フリューゲルスに入団。チーム消滅に伴い、99年に名古屋移籍。10年リーグ優勝でMVPを獲得。ベストイレブン6回。日本代表は98年2月にデビューし、同フランスW杯から4大会連続選出。国際Aマッチ77試合出場。J1通算631試合、J2通算29試合。187センチ、80キロ。

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