【高校サッカー】青森山田“やんちゃ集団”日本一!黒田監督、陰のMVPにバスケス

スポーツ報知
ドリブル突破を図るバスケス・バイロン。攻撃の起爆剤となった(カメラ・宮崎 亮太)

◆全国高校サッカー ▽決勝 青森山田3―1流通経大柏(14日・埼玉スタジアム)

 2度目の頂点だ! 青森山田(青森)が流通経大柏(千葉)に3―1で勝ち、2大会ぶり2度目の優勝を飾った。前半32分に先制点を許したが、同40分にMF檀崎竜孔(りく、3年)が同点弾。後半18分にチリ人MFバスケス・バイロン(3年)のアシストから檀崎が決勝点を挙げ、同43分にもだめ押し点。前年度からレギュラーがほぼ全員入れ替わる中“やんちゃ集団”が互いに競い合い、日本一への階段をついに登り切った。

 右サイドを何度も切り裂き、青森山田のMFバスケスが相手を翻弄した。圧巻は1―1の後半18分だ。マークが2人付きながら、「相手は食いついてくるから(フェイントに)引っかかる」と鋭い切り返しで抜き去り、檀崎の決勝点をアシスト。優勝が決まるとうれし涙を流し、両手で顔を覆って倒れ込んだ。昨年1月から書き始めたサッカーノートの1ページ目に「嘘偽りなく日本一を目指す」と記し、苦手だった筋トレも多いときは週6回取り組むなど、努力の成果が実った。

 「初優勝した2年前は(前年度のチームから)5、6人残っていたけど、今回は檀崎だけ。一からのスタートだったが本当によくやってくれた」。黒田剛監督(48)は頬を緩め選手たちをねぎらった。バスケスも2年時までは試合経験が少なく、選手権は初のメンバー入りだった。自分を変えようとサッカーノートの他にも心理学の本を読み、「才能のある人ほど努力もするし、嫌な練習でも勝つためにやり続ける」(バスケス)と“強者のメンタル”を身につけた。指揮官も「今大会を通じて、バスケスの仕掛けが武器になっていた」と“陰のMVP”の働きを称賛した。

 “やんちゃ”な集団がまとまった。主将のGK飯田雅浩(3年)が「練習でも選手同士がぶつかるし、解決するまでとことん話し合う」と明かしたように、パスの出す位置や受ける位置、体の向きなど、互いの意見を譲らずぶつけ合う個性の強い学年だった。

 それが裏目に出た時もあったが、個の力を生かしながらプレーに対する徹底力を強化。この一戦も檀崎とバスケスの両サイドで優位に立てると読むと「とことん強気でいけ、(ボールを)取られてもいいから仕掛けろ」(黒田監督)とこだわり続け、試合の流れを引き寄せ、得点を呼び込んだ。

 「逃げないで自分に向き合った勇気が優勝につながった」と胸を張ったバスケス。卒業後は東北1部・いわきFCに進む。フィジカル面の強化など厳しい練習が待っているが「青森山田より厳しい練習はない。大丈夫です」と笑顔の背番号11。青森で培った心技体を、次のステージでも更に伸ばしていく。(有吉 広紀)

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