【高校サッカー】青森山田MF檀崎竜孔の2ゴール 逆転でV奪回「2回目の日本一はうれしい」

スポーツ報知
後半18分、勝ち越しゴールを決めガッツポーズする青森山田・檀崎(後方は豊島)

◆全国高校サッカー ▽決勝 青森山田3―1流通経大柏(14日・埼玉スタジアム)

 青森山田(青森)が、2大会ぶり2度目の優勝を果たした。前回準Vの流通経大柏(千葉)に先制されたものの、J1札幌内定のMF檀崎竜孔(だんざき・りく、3年)の2ゴールで逆転に成功。後半43分に途中出場のFW小松慧(3年)がダメ押し弾を決め、3―1で勝利した。檀崎は大会直前の昨年12月に突然の主将交代の悔しさをバネにして今大会にかけた。2016年度優勝時と似た強い個性が光るタレント軍団が結束し、4058校が出場した平成最後の大会で再び頂点に立った。

 涙が止まらない。第81回大会(02年度)の成人の日固定開催以降、過去最高となる5万4194人の大観衆の前で試合終了の笛を聞いた檀崎は、ピッチに膝をついて何度も両手でガッツポーズを繰り返した。2年前の優勝時は1年生でベンチ入りしながらも結果を残せず、心底は喜べなかった。「2年前は悔しかった。2回目の日本一はうれしい」と喜びをかみしめた。

 これがエースの仕事だ。0―1の前半40分。FW佐々木のグラウンダーの右クロスに左足で合わせ同点弾。後半18分にはドリブル突破したMFバスケスの右クロスに反応。相手DFのマークを外して冷静に右足で押し込み、勝ち越しゴールを決めた。「最高です! 俺は持っているなと思いました。雪の中でも集中して練習してきた成果が最後に出て、悔いなく終えられた」と笑った。

 今季のチームはJ2福岡内定のDF三国、チリ代表を目指すバスケスら超高校級選手がズラリ。J1神戸MF郷家友太(19)らを擁した16年度優勝チームに似たタレント軍団と称された。個のレベルが高く、青森県大会は22連覇。だが、実力者ぞろいゆえの過信と慢心が渦巻いていた。

 昨年8月の高校総体2回戦の昌平(埼玉)戦。前半で2―0から4失点して逆転負け。チームはバラバラ。黒田剛監督(48)から何度もカミナリが落ちた。最後のタイトル獲得へ、昨年12月上旬に檀崎が務めていた主将の座がGK飯田に移された。指揮官は「檀崎に頼りすぎている。責任を分散させ、一人一人が自覚を持って一つになろうと促したかった」と理由を明かした。

 主将交代を両親へ泣きながら電話で報告した檀崎だったが「チームを引っ張ることに変わりはない」と自ら頭を丸刈りにして、気持ちを切り替えた。チームは週1回だった選手間ミーティングを毎日行い、厳しい言葉もぶつけて意識を高め、本番に臨んだ。

 今大会5試合の17ゴールは11人で得点。誰でも点を取る“全員エース”のチームに成長した。黒田監督は「イチかバチかの荒療治。ヤンチャな学年で何回もぶち壊れたけど、何回も再構築して日本一になった」と振り返った。

 「クジャクのように羽ばたくように」と竜孔と命名された檀崎。卒業後はJ1札幌に進むが、「日本を代表する選手になりたい」。また一つ上の舞台へ羽ばたく。(星野 浩司)

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