【大分】藤本、J1J2J3で3年連続開幕弾…大卒後は工場で梱包作業、29歳の今はアジア王者から2発

スポーツ報知
前半18分、先制ゴールを決めた大分・藤本(中)が高山(左)、伊藤と抱き合い喜ぶ(カメラ・生澤 英里香)

◆明治安田生命J1リーグ第1節 鹿島1―2大分(23日、カシマ)

 明治安田生命J1リーグは6年ぶりJ1復帰の大分が昨季ACL王者の鹿島を敵地で2―1と下し、2013年10月19日の大宮戦以来1953日ぶりのJ1勝利を挙げた。JFLで4年間プレーした苦労人のFW藤本憲明(29)が史上初となる異なるカテゴリー(J3、J2、J1)での3年連続開幕戦ゴールを含む2得点。

 大分サポーターの悲鳴にも似た絶叫が、カシマスタジアムにこだました。1―1の後半24分、左サイドを突破したFWオナイウのパスにFW藤本が右足で流し込んだ。前半18分の先制点に続く2点目。17年J3、18年J2、今年のJ1と3年連続の開幕戦ゴールで、JFL・佐川印刷(現SP京都)時代の14年を含めれば4カテゴリーでの開幕弾。公式戦8連敗中だった鹿島に土をつけ「これまで積み上げてきたものを出せた」と歓喜に酔いしれた。

 8年越しでたどり着いた夢舞台だった。近大卒業後の12年に佐川印刷へ加入。工場で本の梱包(こんぽう)の仕事などをしながら4年間プレーした。15年にはチーム解散の憂き目に遭ったが、J3加盟初年度の鹿児島からオファーを受けて念願のJリーガーに。2年続けてJ3得点王に輝き、18年に大分へステップアップ。チーム最多の12得点で昇格に貢献し、J1デビューの日を迎えた。

 MF前田は鹿島を「めちゃめちゃ強かった」、DF岩田は「今まで感じたことのないプレー」と振り返った。藤本を含め先発にはJ1初出場が5人。アジア王者の巧みなボールさばきに苦戦し18本のシュートを浴びたが、ミスにつけ込む2発で1953日ぶりのJ1勝利をつかみ取った。

次はホームで 08年にJ1で4位と躍進しナビスコ杯(現ルヴァン杯)で初タイトルを獲得も、ずさんな経営体質による資金難が発覚し、GK西川周作(現浦和)、MF清武弘嗣(現C大阪)、FW金崎夢生(現鳥栖)ら主力が流出。J3に降格した16年に就任し、G大阪で西野朗氏、広島で森保一氏にコーチとして従事した片野坂知宏監督(47)のもと、着実に力をつけて6年ぶりにJ1へ帰還した。J3経験クラブのJ1復帰勝利は初めてで、指揮官は「選手全員に感謝」と目尻を下げた。藤本は「ホーム開幕戦でも決めたい」と次節(3月2日)の松本戦へ息巻いた。一度は地獄を見た大分が、J1定着へ最高のスタートを切った。(岡島 智哉)

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