本田圭佑「自信がなければやらない」…直近15戦2勝13敗もカンボジアの救世主になれるか
【プノンペン(カンボジア)9日=岡島 智哉】カンボジア代表のゼネラルマネジャー(GM)に就任し、実質的な監督として指揮を執る元日本代表MF本田圭佑(32)=メルボルンV=が10日、マレーシアとの親善試合(プノンペン)で指導者としての初陣を迎える。
◆笛とストップウォッチを手に
若き32歳の指揮官の大声が響く。笛を小刻みに鳴らし、手にしたストップウォッチにちらちらと目を移す。監督会見から5時間後、そして選手でもある自身の調整をピッチ上で終えてから10分後。「ワンモア!」「ナイス!」。本田は時折笑顔を交えながら、選手を鼓舞した。「自信が無ければやりません。強い信念と自信を持ってこのプロジェクトに挑んでいる」
◆国を挙げての代表強化
16年11月~17年6月まで泥沼の8連敗を喫するなど、直近15試合で2勝13敗と苦しむカンボジア。しかし政府関係者が「東南アジアの他国に経済的な格差をつけられている分、まずはサッカーで追いつき、追い越したい」と語るなど、代表強化は国を挙げての一大プロジェクト。本田の野望と共鳴し、選手兼任監督が指揮を執る異例の体制が初陣を迎えようとしている。
◆本田フィーバーも
負け癖のついたチームの苦戦は百も承知。マレーシアは8月のアジア大会金メダルの韓国を1次リーグで破った。過去の対戦成績は一度も勝利なし。それでも「強いチームが勝つとは限らない。サッカーはそんなに簡単じゃない」と自信は揺るがない。加入後間もないメルボルンVの活動を切り上げ、4日から合流。マレーシアの監督が会見で「こんなに報道で働く人が多くいるとは知りませんでした」と約70人を前に驚くほど、サッカー後進国は本田の一挙手一投足に沸いている。
◆「この国は必ず上昇できる」
「この国の将来について協会とたくさん話した。フォーカスしたことは成長。巨大なポテンシャルがあるこの国は必ず上昇できる」と本田。自己満足で終わらせるつもりは毛頭ない。カンボジアサッカー界にとって、そして指導者・本田圭佑にとって大きな意味を持つ一戦が始まる。