ベトナムは日本よりサッカー大国?“元ベトナム社会人L所属”記者が見た親日国のサッカー文化

スポーツ報知
日本戦に向け調整するベトナム代表イレブン

 東南アジア地域で唯一の8強入りを果たしたベトナムの快進撃が続いている。W杯アジア最終予選への出場は一度もなく、FIFAランクは日本のちょうど2倍となる100位。しかし、侮ることなかれ。2014年にベトナムの第2の都市、ホーチミンに2週間滞在し、社会人リーグの公式戦2試合に助っ人外国人として出場した岡島智哉記者が、日本に憧れる“隠れたサッカー大国”ベトナムのサッカー事情を「見た」。

 ベトナム人はサッカーを知っている―。それが第一印象だ。欧州のサッカーリーグが頻繁にテレビ放送されており、覚えたテクニックを見よう見まねで披露する。小柄だが、動きは俊敏でプレーの選択も賢い。左足でボールを蹴ると「ホンダ!」と言われ、パスが来ずイライラしていると「トルシエ!」と笑われた。日本サッカーにもかなり精通している。多くの子供たちが日常的に芝生でボールを蹴り、土のグラウンドは一度も目にしなかった。文化としての成熟度という面だけなら、ベトナムは日本よりも“サッカー大国”だった。

 滞在期間中、ベトナムで女子のアジア杯が開催された。なでしこジャパンは1次リーグでベトナムと対戦。約2万人収容の会場は8割ほどが埋まり、ピッチに熱烈な声援が送られていた。サッカー熱の高さはここでも感じられた。

 準決勝の日本―中国では驚きの光景を目にした。ベトナム人グループが太鼓やシンバルなどの楽器を鳴らし、なでしこに大声援を送っていたのだ。どこで購入したのか、日本のユニホームを着ている人や、「合格」と書かれた日の丸ハチマキをしている人もいた。

 聞けば、澤穂希選手の存在すらも知らないという。それでも「ベトナム戦争後、どの国よりも支援をしてくれたから」「日本企業が今度地下鉄を作ってくれる。その恩返しだ!」「アジア人の誇り・ケイスケホンダを生んだ国だからね」とさまざまな理由から集まってくれたようだ。応援団は決勝にも登場。なでしこ初のアジアVに大きく貢献してくれた。

 そんな日本と、アジア杯4強をかけた舞台での対決である。ここ数日、私のフェイスブックのタイムラインが騒がしい。ベトナムの友人たちが、アジア杯8強の躍進、次戦日本戦というワクワクに大興奮しているのだ。実力に大きな開きがあるが、サッカー後進国だと甘く見ると痛い目に遭うだろう。(岡島 智哉)

 ◆岡島 智哉(おかじま・ともや)1991年6月19日生まれ。27歳。2016年報知新聞社入社。17年に横浜M、18年から鹿島担当。これまで欧州、南米、アジアを中心に23か国で現地観戦。ファーサイドまで届くロングスローを武器に、ベトナム・ホーチミン社会人リーグ2試合出場0得点1イエローカード。パラグアイ・エンカルナシオン地域リーグ2試合出場0得点1負傷退場。アジア杯現地取材中。

サッカー

×