本田圭佑、日本で922日ぶりゴール 東京五輪OA枠で生かせる二面性と決定力

スポーツ報知
後半26分、スライディングしながら左足で同点ゴールを決めるメルボルンV・本田(カメラ・石田 順平)

◆アジア・チャンピオンズリーグ2019 ▽1次リーグF組 広島2―1メルボルンV(12日・広島広域公園陸上競技場)

 MF本田圭佑(32)のメルボルンVは1―2で広島に敗れ、2連敗を喫した。

 1点を追う後半26分、本田が一時同点となるゴールを決めたが、後半41分に決勝点を許した。クラブでの国内公式戦は、名古屋時代の07年12月以来となった本田。オーバーエージ(OA)で2020年東京五輪出場を目指す中、前半と後半に2つの顔を見せたプレーを内田知宏キャップが「読み解く」。

 何度、同じ流れを見せられたことか。キャプテンマークを巻き、右MFで先発した本田は後半トップ下に入ると、ゴールに向かうプレーが増えた。同26分、クロスを滑り込みながら左足で合わせ、鮮やかな同点ゴール。日本での得点は代表の16年9月1日、UAE戦以来922日ぶり。「信じて走った。あそこに行かなくては触れられなかった」。自信に満ちた表情でいつも締めくくる。

 前半は年齢を感じた。41分のゴール右前のFK。左利きとしては最も多く練習する角度で、日本代表でFKの名手MF中村俊輔(40)=磐田=に「蹴りたい」と直訴したこともある男が、同僚に譲った。流れの中ではボランチの位置まで下がってパスをさばいていた。ゴールへの直接的な怖さは鳴りを潜めていたが、結局はゴールを決める。

 この二面性を見て、思い出した。10年南アW杯で2得点を挙げて注目を浴び、18年ロシアW杯まで本田の記事が紙面を占める割合が増えた。当初、何人かの代表選手に聞かれた。「何で本田さんばかり持ち上げるの」「もっと活躍した選手がいるでしょ」。真意は「もっとうまい選手がいるのに」「もっと貢献した選手がいるのに」だった。

 技術的に優れている選手は他にもいたし、スピードは決定的に足りなかった。パス回しでは、詰まることも多かった。特にハリルホジッチ監督時代は不向きな右FWを務めたこともあり、記者席でイライラさせられた。試合が終わってみればその感情は消え、疑問を持っていた選手も時間を経て、口にしなくなった。すべてゴールが解消していた。

 本田はロシアW杯後に代表引退を表明し、OAでの東京五輪出場を目指す。レベルが高いとは言えないオーストラリアで、五輪をにらんでチームに経験を落とし込むことを意識しているという。五輪開幕まで500日。「もうノンストップですよね。ケガなくやれれば、絶対に(五輪に)出られると思っている」

 「~のに」と言っていた選手たちはその後、「本田さんすげえよ、結局は決めるもん」と言っている。いかなる過程を踏んでいても、自分とゴールを信じ続けられる強い心と高い決定力を持つ本田。短期決戦となる五輪で生きる素地がある。(内田 知宏)

 ◆東京五輪オーバーエージ(OA) 森保一監督はU―23日本代表で臨む東京五輪で、最大3枠あるOAの活用を明言。MF本田、DF長友佑都(32)=ガラタサライ=、DF槙野智章(31)=浦和=、FW武藤嘉紀(26)=ニューカッスル=らが立候補し、FW大迫勇也(28)=ブレーメン=も有力候補。00年シドニー、12年ロンドン、16年リオで3枠、04年アテネは2枠使用。08年北京は活用していない。これまでの最年長は16年リオの浦和FW興梠慎三の30歳。東京五輪を34歳で迎える本田が選ばれれば、記録を更新する。

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