関東学連、日大・内田前監督らの反則指示を認定…「やらなきゃ意味ないよ」は立派な指示

スポーツ報知
除名された井上奨前コーチ(左)と内田正人前監督 

 関東学生アメリカンフットボール連盟(関東学連)が29日、臨時理事会を開き、悪質タックル問題で揺れる日大への処分を発表した。

 この日夜、同学連の柿沢優二理事長(63)らが都内で会見。問題を調査した同学連の規律委員会(5月9日発足)が日大の内田正人前監督(62)と井上奨(つとむ)前コーチ(29)が宮川泰介選手(20)に悪質なタックルを指示したと認定。内田前監督(62)と井上前コーチを8段階の処分のうち最も重く事実上の永久追放にあたる除名処分とした。

 守備を統括する立場だった森琢ヘッドコーチは除名に次いで重い資格剥奪、危険なタックルをした宮川選手には2018年シーズン終了までの出場資格停止処分。チームとしての日大には公式試合の資格剥奪処分が課された。

 規律委員会の森本啓司専務理事(48)は日大、関西学院大両チーム関係者への聞き込み調査を行ったことを明かし、「試合前日、宮川選手は井上コーチからどこでもいいから相手QBに突っ込めという指示を受けた。試合当日も井上コーチから『相手QBを潰す』と監督に言ってこいと言われた。宮川選手が監督にそう言ったところ、内田監督に『やらなきゃ意味ないよ』と言われた。さらに井上コーチに『できませんじゃ、すまないからな』と言われたということです」と内田前監督、井上前コーチの“反則指示”を認定した。

 「1度目の悪質な反則を内田前監督と井上前コーチはサイドラインからしっかりと見ていました。パスが投げられて、ボールの方ではなく、当該選手の方を見ていたのが映像で確認されています」と断言。2度目、3度目の反則行為についても説明した後、「宮川選手は井上コーチに『これで退場だが、成長できたからいいじゃないか』と言われたが、当該選手はベンチに下がって泣いていた。井上前コーチに詰め寄った選手もいた」と続けた。

 「内田前監督は試合後、反則について、『何か聞かれたら俺がやらせたと言え』という趣旨の発言をしました。宮川選手は泣いたことについて、井上前コーチに『おまえは優しすぎるからダメなんだ』と説教されたということです」とした。

 「試合後の内田前監督はもっと踏み込んだ発言をしている。『反則というなら、これが僕のやり方。選手はもっとイジメますけどね。もっとやってみなと』と発言したという」とした。

 ◆日大の反則指示否定についての規律委の判断

 1,「QBを潰せ」発言はケガさせろの意味か?

 ▽気性が激しくない選手に「潰せ」ということはあるが、「相手QBとは友達か?」と聞くことはない。井上前コーチの発言には「友達にはとてもできないことをしてこい、ケガをさせろ」というニュアンスだった。認識の乖離(かいり)など存在しないと規律委は判断する。

 2,「潰せ」は内田前監督の指示だったのか?

 ▽(23日会見の)井上前コーチの発言は内田前監督を守ろうとしている信頼性に乏しい発言。宮川選手の発言の方が迫真性があり、(監督の)「やらなきゃ意味ないよ」は立派な指示である。

 3、「1プレー目から相手QBを潰せ」が試合出場の条件だったのか?

 ▽井上前コーチの「できないじゃすまされないからな」発言、宮川選手が出場できた点から真実である可能性は決して低くない。

 4、内田前監督は「やらなきゃ意味ないよ」と言ったのか?

 内田前監督の自分の発言に関する主張は全て不自然と思われる。「ボールを見てしまって、宮川選手を見ていない」は映像で確認できる通り、選手の方を見ており、内田氏の供述は虚偽であると判断。内田前監督が「反則だっていいから、もっとやってみな」と容認していたから。

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