【ウィンブルドン】アンダーソン、6時間36分の死闘制し初決勝

スポーツ報知

◆テニス ウィンブルドン選手権第11日 ▽男子シングルス準決勝 アンダーソン(7―6、6―7、6―7、6―4、26―24)イスナー(13日、ロンドン・オールイングランド・クラブ)

 【13日=大和田佳世】男子シングルス準決勝で歴史に残る死闘の末、世界ランク8位で第8シードのケビン・アンダーソン(32)=南アフリカ=が同10位で第9シードのジョン・イスナー(33)=米国=を振り切り、初の決勝進出を決めた。強烈なサーブを打つビッグサーバー同士の試合は6時間36分を要し、10年に記録された3日がかり11時間5分に次ぐ歴代2位のマラソンマッチとなった。

 死力を尽くした両者に笑顔はなかった。6時間36分、総ゲーム数99。アンダーソンはイスナーのショットが力なくサイドラインを割ったのを見届け、疲れ切った表情でネットに歩み寄った。「普通の試合や戦術を超越する消耗戦だった。引き分けのような気分だが誰かが勝たないといけない。複雑だ」。米国の大学時代からしのぎを削ってきた1つ年上の先輩と健闘をたたえ合った。

 時速200キロ超のビッグサーバー同士の対決は、予想通りキープ合戦になった。サービスエースの数は両者合計102本。第1、2、3セットはタイブレイクの決着。10年大会1回戦でイスナーがニコラ・マユ(フランス)と演じた3日がかり11時間5分のテニス史上最長試合を超えるか、と期待が高まっていった。

 タイブレイクのない最終セット第49ゲーム、アンダーソンの執念が勝敗を分けた。サーブレシーブでふらつき転倒したが、すぐ起き上がり利き腕と逆の左でラケットを拾い上げて正確に返球。ようやくのブレイク成功につなげた。「肘の手術を受けた若い頃、4~5か月左手で練習したことがある。まさかこんな場面で生かされるとは…」。本人も驚くプレーに、観戦し続けた観客は総立ちで拍手を送った。

 ただ、アンダーソンは15日の決勝は大きなダメージを抱えて臨むことになる。4大大会は全米以外、最終セットでタイブレイクを行わない。「最終セットを延々やる価値が分からない」と苦言を呈し、敗者のイスナーも「方式を変える時に来ている」と同調した。

 ◆アンダーソンvsイスナー戦の記録

 ▽試合時間 6時間36分は10年大会1回戦の11時間5分に次ぐ2位。1日間の実施では12年3回戦のチリッチ(クロアチア)対クエリー(米国)の5時間31分を超え最長。準決勝では13年のジョコビッチ対デルポトロ(アルゼンチン)の4時間44分を超え最長。

 ▽総ゲーム数 99は3位。史上最多は前記11時間マッチの183で、2位はタイブレイク制導入前の69年大会1回戦で112。最終セットゲーム数50は歴代2位。

 ▽サービスエース イスナーは大会合計214本で、01年にG・イバニセビッチ(クロアチア)が記録した213を上回った。アンダーソンはここまで174。

 ◆15日のテニス放送 WOWOWライブで男子シングルス決勝、混合ダブルス決勝(21時45分~、25時~)を生放送。車いす女子シングルス、男子ダブルス決勝は19時から録画放送

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