“卓球の伝道師・愛ちゃん”として、後輩たちを世界一に導いて

スポーツ報知
09年全日本選手権で史上最年少勝利を挙げた平野美宇(手前)を祝福する福原愛さん

 卓球のリオ五輪女子団体銅メダルの福原愛さん(29)=ANA=が21日、ブログで第一線を退くことを表明した。3歳から始めてから、2012年ロンドン五輪女子団体で日本卓球界史上初となる銀メダル獲得に貢献するなど、常に日本卓球界を引っ張ってきた福原さんを12年ロンドン、16年リオデジャネイロ五輪の2大会で取材した遠藤洋之記者(39)が振り返った。

 日本卓球界を盛り上げ、世界に近い競技として“市民権”を勝ち取ったのは、間違いなく福原さんの功績のひとつだ。幼いころから「卓球の愛ちゃん」と親しまれていたが、リオ五輪の前に取材した際、こう話していた。

 「最初は自分というものをなかなか受け入れられなかったです。でも、自分が頑張ることで卓球をやりたいと思ってくれる子供も増えたし、裾野も広がった。頑張ることは、いいことがたくさんあるんだと感じました。だから今は『福原さん』より『愛ちゃん』と呼ばれる方がいいです」

 卓球がソウル五輪で正式競技に採用された1988年生まれ。バルセロナ大会の92年に卓球を始めた。2004年アテネでは15歳で代表入り以降、4度の五輪を経験。団体では2度のメダルも獲得した。

 最後のリオはチーム最年長の27歳。初代表の伊藤美誠が15歳だったが、実は最初のアテネ大会で、最年長の梅村礼さんも当時27歳だった。当時、伸び伸びさせてもらっていたという経験を踏まえ「美誠には特に自分からは言いません。ロケットのようなスピードで成長しているし、考え方がしっかりしている。余計なことを入れない方がいい」と、伸び伸びやらせてチームをまとめ、メダルを勝ち取った。

 取材の時は負けた後でも最後は笑顔で応えてくれた福原さん。小さい体をいっぱいに使った強烈なバックハンドを見られなくなるのは少々寂しい気もする。だが、今度は“卓球の伝道師・愛ちゃん”が、選手として届かなかった世界一に後輩たちを導いてくれると期待したい。(2009~16年卓球担当)

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