【高校ラグビー】京都工学院、完封負けで花園出場逃す…かつての伏見工、泣き虫先生悔し涙

スポーツ報知
京都工学院フィフティーンは完封負けにがっくり肩を落とす(カメラ・谷口 健二)

◆全国高校ラグビー京都府予選▽決勝 京都成章39―0京都工学院(11日・宝が池)

 第98回全国高校ラグビーの京都決勝が行われ、旧校名の伏見工時代に全国高校ラグビー優勝4度を誇る京都工学院が、京都成章に5トライを奪われて完封負けし、新校名で初となる花園出場を逃した。かつての荒廃から伏見工ラグビー部を全国屈指の強豪に育てた山口良治総監督(75)は、大差の完敗に「情けない。伏見工のラグビーを引き継いでほしい」と悔し涙。京都成章は12月27日から東大阪市花園ラグビー場で行われる全国大会に、5大会連続で出場する。

 チーム名から名門の名前が消えた今季、伏見工ラグビーが誇った鮮やかな堅守速攻も消えてしまった。伝統の赤ジャージーを引き継いだ京都工学院は、反則連発で京都成章にチャンスを与え、自らの得点機でもインゴールノックオンなど凡ミスを連発。屈辱の完封負けに、山口総監督は「0点で大敗なんて、あの花園戦以来記憶にない」と、涙を浮かべた。思い起こしたのはドラマ「スクール☆ウォーズ」の名シーンにもなった1975年春。0―112で花園(京都)に敗れた伏見工の原点の一戦だった。

 伏見工時代は土のグラウンドで練習しながら全国V4度。大八木淳史氏(57)、2016年に他界した平尾誠二氏(享年53)、田中史朗(33)=パナソニック=ら日本代表も多数輩出した。京都工学院は、人工芝グラウンドにトップリーグ並みのトレーニングルームを完備する。山口総監督は「恵まれ過ぎてダメになってはいかん」と、私学強豪への反骨心に満ちた伏見工スピリットの復活を望んだ。

 この日は先発15人中11人が2年生。それを差し引いても京都成章との力の差は明白で、高崎利明GM(56)は「この経験が生きる、という負け方じゃない。少し前は伏見工という名前で勝たせてもらったが、長いスパンで立て直す」と、長期的な再建を覚悟した。今春のけが離脱からこの日戦列復帰して途中出場し、帝京大に進むロック長谷川翔舞(しょうま)主将(3年)は「勝てば新しい歴史になると思ったが、後輩らに申し訳ない。一から頑張ってほしい」と涙で思いを託した。

 現在は監督不在だが、現場指揮を執るOB3コーチの中から、新監督が選任される見込み。「もう一度、全国に(名を)知らしめてほしい」。山口総監督は新校名での飛躍を願い、語気を強めた。(田村 龍一)

 ◆京都工学院ラグビー部史

1920年度 京都市立工業学校の分教場として学校設立

 48年度 学制改革で伏見工に

 59年度 ラグビー部創部

 75年度 山口良治監督(現総監督)就任

 79年度 初の花園(全国高校ラグビー大会)出場

 80年度 平尾誠二氏らを擁し花園初優勝

 92年度 花園2度目V

 98年度 高崎利明監督(現GM)就任

2000年度 花園3度目V

 05年度 花園4度目V

 15年度 松林拓監督(現部長)就任

 16年度 洛陽工との統合で京都工学院に。ラグビー部は17年度花園予選までチーム名「伏見工・京都工学院」で出場

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