関学大QB奥野でV 日大悪質タックル騒動乗り越え「アメフト続けてよかった」

スポーツ報知
第2Q、相手ディフェンスをかいくぐり突破を狙う関学大QBの奥野(中央=カメラ・小梶 亮一)

◆関西学生アメフト 最終日 関学大31―7立命大(18日・万博記念)

 関学大が31―7でライバル立命大との無敗対決を制し、2年ぶり56度目のリーグ優勝を飾った。5月の日大との定期戦で悪質タックルを受けたQB奥野耕世(2年)=関西学院=が2本のタッチダウン(TD)パスを決める活躍。関学大、立命大は甲子園ボウルが決勝となる全日本大学選手権へ出場し、立命大は25日に名城大と対戦、その勝者が関学大と対戦する。7位・龍谷大と8位・甲南大は入替戦に回る。

 騒動を乗り越え、関学大が、まずリーグを制した。第1クオーター(Q)、RB山口祐介(4年)=横浜栄=が52ヤード走って先制TD。QB3人を入れ替え相手守備を揺さぶる戦術で、中でも2年生の奥野が躍動。第2Qで19ヤードTDパスを決め、第4Qに元甲子園球児のWR小田快人(3年)=近江=へ44ヤードTDパスを成功させ、勝利を決定づけた。「思っていた通りにディフェンスが来て、タイミング良くパスを放れた。(アメフトを)続けてよかった」と大きく息をついた。

 奥野は5月、日大との定期戦で反則タックルを受けた。不本意な注目を浴び続け、「アメフトをしなければよかった」とまで悩んだ。騒動後も普通に接してくれたチームメートら周囲の支えもあって復帰した。1年生の昨季は出番なしだったが、今秋は主将の光藤航哉(4年)=同志社国際=、西野航輝(4年)=箕面自由学園=の先輩QBを押しのけて先発。光藤主将は「奥野はライバルでもあり頼もしい後輩。あの問題でアメフトは(フェアであるべき)スポーツなんだと再認識した」と、クリーンに激しく立命大を圧倒した。

 2年ぶりのリーグVも、喜んでばかりはいられない。西日本代表校決定戦(12月2日・万博)で立命大と再戦が濃厚だ。昨季はリーグ戦で立命大に敗れ、リベンジして甲子園ボウルに進出。今季と逆の立場を経験しただけに鳥内秀晃監督(59)は「精度を上げないと。向こうはまだ見せていないプレーがあるはず。(再戦すれば)大変な試合になる」と警戒した。

 奥野は「今季ここまで出場できるとは思わなかった。強い気持ちで、次の試合も勝って甲子園ボウルにいく」と気を引き締めた。社会問題にもなった騒動に巻き込まれながらも、大一番でチームに不可欠な司令塔であることを証明。結束を強めた関学大が、日本一へ歩みを進める。(田村 龍一)

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