出沢がジュニア女子で下克上V! 「粒高ラバー」で優勝候補をきりきり舞い

スポーツ報知
ジュニア女子で優勝した出沢杏佳

◆卓球 全日本選手権第4日(17日・丸善インテックアリーナ大阪)

 出沢杏佳(16)=茨城・大成女子高=が優勝候補を次々と破り、初の栄冠に輝いた。茨城県勢では、男女通じてジュニア初優勝。 4回戦で小塩遥菜、準決勝で長崎美柚とエリートアカデミー勢を立て続けに撃破し、決勝では昨年の全中で2冠を達成した大藤沙月=ミキハウス=に、1ゲーム目を奪われながらも3―1で逆転勝利を収めた。試合後、多くの報道陣に囲まれると「まさか優勝できるとは…。まだ実感がなくてドキドキしています」と初々しく話した。

 全国的には無名の出沢がなぜ“強豪キラー”となって優勝できたのか。秘密はラバーにある。小1で「日立大沼卓球」で競技を始めた直後、この日もベンチから見守った小貫美穂子コーチの勧めで、ラケットのバックハンド側に突起の長い粒高(つぶだか)ラバーを使ったスタイルに挑戦。珍しい形ではあるが「ずっと同じ戦型です」と一筋に取り組んできた。憧れの選手には同じ戦型の中国・何卓佳を挙げ、動画を見て日々腕を磨いている。

 粒高ラバーで返球するボールには不規則な回転がかかるため、対戦する相手は事前に「粒高対策」が必要。使用する選手は少なく、今大会でも出沢と対戦した選手のほとんどが、独特のスタイルに苦戦を強いられた。「自分より強い人がいっぱいいるので、向かっていこうという気持ちでした。攻めていかないと勝てないので、どう攻めるか考えて試合をしました」。粒高から繰り出すバックハンドで相手の体勢を崩し、フォアハンドで力強く決める。出沢にしかできない攻撃で世界を舞台に戦う選手らをきりきり舞いにさせた。

 茨城出身だが、中学は大阪・四天王寺中に通い、ミキハウスで練習した。しかし「体力が全然なくて…。厳しい環境にうまく入れなかった」とレベルの高さに挫折を味わい、2年から地元の泉丘中に転校。現在は高校の卓球部に所属するかたわら、小貫コーチのもとで練習に励んでいる。「監督やサポートしてくれる両親、仲間たちがいなければ練習できていない。みんなのおかげ」と感謝を忘れなかった。

 優勝した直後にはYahoo!の急上昇ワードで「出沢」がランクインするなど、優勝候補を次々と破ってのVにネットも色めき立った。「いきなり注目されたのでビックリしていますが、嬉しいです」。女子シングルスもシード選手に勝利し、5回戦進出が決定。出沢フィーバーはまだまだ終わらない。

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