WOWOW解説者・鈴木貴男氏が語る錦織勝利のポイント

スポーツ報知

◆テニス 全豪オープン第4日(17日・メルボルン) ▽男子シングルス2回戦 錦織圭3(6―3、7―6、5―7、5―7、7―6)2カロビッチ

 世界ランク9位で第8シードの錦織圭(29)=日清食品=が、1回戦に続きフルセットで勝利した。最終セット、6―6から10点先取のタイブレイクに突入。6―5のリードから2つミニブレイクを許しピンチになったが、相手のミスで8―7と逆転。終盤で勝負強さをみせた。

 全豪テニスを連日生放送しているWOWOWで解説を務める、1996年アトランタ五輪代表の鈴木貴男氏はこの試合を「錦織の試合の中で5本の指に入るナイスゲームだった」と評価した。勝敗を分けたポイントの1つにサーブの選択にあった。

 「最終セットのタイブレイク7―7で、カロビッチは第2サーブをボディーに打ってきた。それまではボディーでポイントが取れていたので、その選択をしたのだろう。しかし錦織はこの試合で唯一、ボディーサーブに対してしっかりリターンできた。センター、ワイドと違ってボディーは読めていなくても反応して返せる。それがいいところに入った。結果的にカロビッチにとっては選択ミスになってしまった」

 10ポイント先取のタイブレイクは心理的な要素も大きく影響してきていた。

 「カロビッチは7―6でセンターに打ってきたサーブも甘かった。それまではピンポイントに隅を狙ってこれていたのだから、人間の心理は分からない。いくらサーブが得意だからといっても、2本続けてエースを取るのは難しい。勝敗に関係なく見えるような小さいピースが、錦織に有利なように積み重なっていって、最終的に最後の10ポイントにつながったと思う」

 錦織が勝利を引き寄せたポイントはもう1つ、最終セット4―4の第9ゲーム、0―40をしのいだことだった。

 「0―40の第1サーブでリターンミスをさせて、すごく気持ちが楽になったと思う。ラリーになっていたらカロビッチは思い切って攻めてきただろう。それを防げた。その後も第1サーブを入れて40―40にできた。ラリー戦になったが、入れにいくというよりスピンをしっかりかけて、やれることを最大限やってミスをしなかった。それが彼がトップ10にいられる強さ。もっと下のランクの選手だったら、あの場面で第1サーブが入らなかったり、ラリーでミスをしたりしてしまって耐えられなかったと思う」

 3回戦は44位のジョアン・ソウザ(29)=ポルトガル=と対戦になる。「そろそろストローク戦で自信をつけたい」錦織にとってはやりやすい相手だと言える。

 「ひいき目ではなく、錦織を倒すにはよほどの粘りとファイトが必要になる。経験がある選手なので第1セットから全開でいくような、無謀なことはしないと思う。2回戦とはまた全く違う、ストローク戦を楽しみましょう」

 全豪オープンは14~27日、WOWOWで連日生中継。WOWOWメンバーズオンデマンドでも配信。詳しくはこちら

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