大坂なおみの執念、2試合連続逆転勝ちで8強「本当に厳しい戦いだった」

スポーツ報知
全豪OP女子シングルス8強

◆テニス 全豪オープン第8日 ▽女子シングルス4回戦 大坂2―1セバストワ(21日・メルボルン)

 【21日=大和田佳世】女子シングルス第4シードで世界ランク4位の大坂なおみ(21)=日清食品=が、ツアー大会初の2試合連続逆転勝ちで8強入りした。4回戦で同12位のアナスタシヤ・セバストワ(28)=ラトビア=を、ドロップショットなど戦術の幅広さで破った。今大会で日本女子の8強は2000年の杉山愛以来19年ぶりで、4大大会の2大会連続8強は沢松和子、伊達公子に次ぐ3人目だ。

 大坂がまた一歩、大人の階段を上った。この日27本目となるフォアの決定打が青いコートに弾むと、珍しく両手でガッツポーズを見せ笑顔を浮かべた。「相手がいいプレーをしていたけど諦めなかった。本当に厳しい戦いだった」。3回戦に続く技巧派の相手に、ツアー本戦では初の2試合連続逆転勝ち。日本女子3人目の4大大会連続8強入りを果たした。

 第1セット1―1の第3ゲーム、ネット前に出たボレーを2度ミスしてブレイクを許した。前哨戦のブリスベン国際準々決勝と同じく第1セットを奪われた。「本当に落としちゃった。ガッカリした。でも勝てなくてもベストを尽くそう」。短時間で切り替え、主審の声がかかる前にスッと立ってコートに入った。昨季2戦2敗でスライスショットを多用するセバストワには苦手意識があったが、大会前には日本協会からもデータを取り寄せて分析。ブリスベンに続き連勝を果たした。

 折れない心は強くなった体が支えている。昨オフのトレーニングで最初の1週間はテニスを離れて走り、ジムで体を鍛えた。トレーニング担当のアブドゥル・シラー氏が「素早いスプリンターの体にする」と考えたメニュー。コート内で俊敏性を高める動きを繰り返し、重りを引っ張って走った。「長い試合も疲れないから戦える」

 ミスはセバストワの2倍以上の43本を数えたが、ドロップショットや110キロ台の緩いサーブを織り交ぜて第2セットを奪い返した。第3セット第6ゲームでは0―40のピンチ。以前なら高速サーブの出番だったが、まぶしいサイドでサーブが生きない影響もあり、19回ラリーしてボレーでしのいだ。理想の大人は「うまくいかなくても受け入れる」。日本テニス協会の土橋登志久強化本部長は「重要な場面で長いラリーをして勝機を見いだせた。一発だけじゃなくて、やればできるところを見せてくれた」と評価した。

 過去15年で4大大会を初制覇した20人のうち、次の4大大会でも8強以上に進んだのは4人目。周囲の注目が必要以上に増えるため、コートの違いも含めて勝ち続ける難しさがある。心技体がそろった今は「去年より自分を信じられている」と余裕が感じられる。23日に予定される準々決勝は過去2勝3敗のスビトリナと対戦。全豪の日本勢では94年大会4強の伊達公子以来25年ぶりの準決勝進出に向け「我慢強く、最後まで集中したい」と力を込めた。

 ◆大坂の2試合連続逆転 シニア全試合通じて6度目でツアー本戦では初。予選も入れると14年7月のウエスト銀行クラシック予選2回戦と本戦1回戦がある。他には17年ポルシェGP予選1、2回戦、ツアー下部のホアヒン大会で4試合連続、13年4月のジャクソン大会予選1、2回戦、フェド杯アジア・オセアニアゾーン1部の中国戦、カザフスタン戦がある。ツアー本戦の3セット試合は通算18勝15敗。

 ◆4大大会の2回連続8強入り

 ▼沢松和子(75年全豪8強―全仏8強) 第6シードで臨んだ全豪は3回戦までストレートで勝ち上がり、準々決勝で第3シードのE・グーラゴング(オーストラリア)にストレートで敗れ8強。ノーシードで出場した全仏でも8強に進出したが、準々決勝で第1シードのC・エバート(米国)にストレート負け。

 ▼伊達公子〈1〉(93年全米8強―94年全豪4強) ノーシードの全米では、同種目で75年の沢松和以来18年ぶりの8強。翌年の全豪は第10シードで出場し準決勝に進出。第1シードのS・グラフ(ドイツ)に敗れ、決勝進出は逃した。

 ▼伊達公子〈2〉(95年全仏4強―ウィンブルドン8強) 第9シードの全仏では準々決勝までの5試合をストレート勝ち。準決勝は第1シードのA・サンチェス(スペイン)に敗れた。ウィンブルドンは第6シードで出場。準々決勝でJ・ノボトナ(チェコ)にストレートで屈し8強。

 ◆22日のテニス放送 8時50分~、16時45分~WOWOWライブで男女シングルス準々決勝を生放送。WOWOWメンバーズオンデマンドでも配信。詳細はこちら

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