【Tリーグ】「張本が来季取るので、今季は自分が取らせてもらいました」…MVP水谷隼独占手記

スポーツ報知
優勝シャーレを掲げ喜ぶ東京の選手たち

◆Tリーグ ファイナル(17日・両国国技館)

 上位2チームで争うファイナルが行われ、男子はレギュラーシーズン1位の木下マイスター東京が初代王者に輝いた。同2位の岡山リベッツを3―1で下した。第3試合で水谷隼(29)=木下グループ=が、世界ランク7位の李尚洙(28)=韓国=を3―0のストレートで撃破。第4試合で張本智和(15)が3―1で森薗政崇(23)を退け、優勝が決まった。シーズンMVPに選ばれた水谷がスポーツ報知に独占手記を寄せ、来季も参戦する意向を明かした。

 レギュラーシーズンを21試合戦って、今日のこの1試合で負けてしまえば今までの努力が無駄になってしまう。何とか優勝をつかみ取りたいとずっと思っていたので、それを達成することができて良かったです。MVPはうれしいし、自分なんかが取っていいのかなと思いますけど、張本が来季取るので、今季は自分が取らせてもらいました。

 Tリーグは特殊なルールもすごく面白い。いろんなチームが勝つ可能性があって、1本も気が抜けないプレッシャーの中で試合ができる。最終ゲームは6―6からになるので、1ゲーム目がものすごく大事。ラケットコントロールや選手集合がないので試合の数分前まで入念に準備して、1本目から最高のパフォーマンスが出せるように体を温めて臨みます。7ゲームマッチだと冷静に試合を分析して徐々に自分のペースにしていきたいですが、Tリーグではガムシャラに1ゲーム目を取りにいく。気持ちもプレーも常に最終ゲームだと思って入っています。

 開幕戦は五輪や世界選手権とはまた大きく違った、何か新しい世界に来たような感覚でした。注目を集める中で、両国国技館であれだけの人数の前でスポットライトを浴びて入場する。ものすごく興奮した記憶は残っています。(試合前の演出で)各チームの選手がステージに上って立っている時は、本当に始まるんだなとすごく実感が湧きましたね。僕の中では10年以上待ち望んでいた。海外でやっている間、ずっと日本でこのようなリーグがやりたいと思っていたので、感慨深いものがあった。忘れられない思い出ですし、ファイナルでまたここでプレーしたいと強く思いました。

 毎試合強い選手ばかりで負けることも多かった。本当に一筋縄でいかない。どの試合もものすごく緊張しますし、ワールドツアーとは違ったチーム戦ならではの相手の気迫、相手チームから来る圧が、自分を成長させてくれているなと感じます。来季もTリーグには出場します。今までも五輪があってもリーグ戦は出ていましたし、出るものだと思っています。それ以降はまだ考えていませんが、出来る限りTリーグでプレーしていきたいですね。

 ◆木下マイスター東京(東京都) チーム名は「木下の達人たちが卓球界を席巻する。圧倒的な技術を見せつけるという意味のドイツ語“マイスター”」が由来。マスコットはマレーシアの野鳥、サイチョウがモチーフ。ユニホームは卓球界を席巻する波を表現。登録はベンチ入り6人と田添響(AA、272位)。総監督は邸建新氏。責任企業は木下グループ。

 ◆水谷 隼(みずたに・じゅん)1989年6月9日、静岡・磐田市生まれ。29歳。5歳で卓球を始め、青森山田中2年でドイツへ留学。2005年世界ジュニア準優勝。全日本選手権は歴代最多の10度優勝。16年リオ五輪では個人種目で男女を通じて日本勢初の銅メダルに輝き、団体も銀メダルを獲得。17年3月に木下グループと所属契約を結んだ。172センチ、63キロ。左利き。家族は夫人と1女。

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