【Tリーグ】早田ひな、MVP「これからも自分を信じて戦う」日本生命が初代女王

スポーツ報知
延長戦を制しチームメートに駆け寄り喜ぶ早田(上)。日本生命がTリーグ初代女王に輝いた

◆Tリーグ ファイナル(17日・両国国技館)

 女子はレギュラーシーズン2位の日本生命レッドエルフが初代女王となった。同1位の木下アビエル神奈川を3―2で破った。第2試合でエースの平野美宇(18)が敗れたが、第3試合で早田ひな(18)がフルゲームの熱戦の末、袁雪嬌(23)=中国=を撃破。1ゲームの延長戦も制し、シーズンMVPに輝いた。神奈川は第4試合で石川佳純(25)が勝利し、延長戦に持ち込んだが、最後に力尽きた。

 早田が日本生命を初代王者に導いた。チームは第4試合を落とし、優勝の行方は1ゲームの延長戦にもつれ込んだ。第3試合で戦った袁との再戦。5035人が見守る中、村上恭和総監督から「勇気を出して戦った方が勝てる」と背中を押され、「気持ちの勝負」と持ち味のフォアハンドを振り切り、大胆なロングサーブも効いた。最後は相手の返球が外れると、両手で顔を覆い、涙を拭った。

 エースの平野が敗れ、1勝1敗で迎えた第3試合でも貴重な1勝をつかんだ。最終ゲームは7―10と追い込まれるなど6度もマッチポイントを握られたが「どんなに負けていてもその一本に集中した」と引かなかった。最後は16―17から3連続得点。19―17で激戦を制すると、力を出し切り、その場にしゃがみ込んだ。

 Tリーグで最も成長した1人だ。開幕前、世界のトップ選手との戦いを想定し、動画サイトでの分析を始めた。次第に興味は参加選手以外にも広がり、「いろんな選手の技術を取り入れたいなという気持ちが増した」。男女や戦型を問わず、動画を見て男子の許の練習や女子の王(ともに中国)のチキータの足の運びをまねた。練習メニューを組む際も石田大輔コーチとの意見交換が活発になり、成長は加速した。

 レギュラーシーズンは前期MVPにも輝き、ファイナルも合わせた不敗神話は13に伸びた。チームはシーズンでの神奈川との直接対決は2勝5敗で勝ち点も17差をつけられたが、決戦に合わせ、海外勢も含むベンチ外の選手も集結。練習相手を務めるなど、一丸となって雪辱した。3日の選考会で世界選手権代表を逃したショックを乗り越えた早田は「絶対に勝ちきってみんなの笑顔が見たいと思っていた。これからも自分を信じて戦っていきたい」。歓喜の輪の中心で決意を新たにした。(林 直史)

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