サンリツ・天野優が現役生活に幕「自分を少し褒めたい」…卓球東京選手権

スポーツ報知
現役最後の試合を終えたサンリツ・天野優

 卓球女子で2015年全日本社会人選手権優勝の天野優(26)=サンリツ=が24日、現役最後の試合を終えた。東京選手権(駒沢体育館)に出場。ダブルスは3位に入り、シングルスは6回戦で前滝初音(愛媛銀行)に1―4で敗れたが、「まだ実感はないんですけど、頑張ってきた自分を少し褒めたいなと思いました」と、すっきりした表情でラケットを置いた。

 現役引退を考えたのは昨年9月。きっかけは17年12月に右肩を痛めたことだった。肩鎖関節の炎症で満足に練習ができず、痛み止めの注射や薬をのんで試合には出場を続けたものの「練習ができず悔しい思いをしたり、パフォーマンスも良くなくて。最後の方は割り切って昔の自分と比べないでやろうと心掛けていたので、考え方も少し幅を持てるようになったかなと思いますけど、そういう自分にイライラした時期もあった」と振り返る。

 5歳で卓球を始め、同学年の石川佳純(全農)、森薗美咲(TOP名古屋)らと切磋琢磨(せっさたくま)しながら、日本代表入りやサンリツの日本リーグ年間総合優勝を目標に練習に打ち込んできた。だが「心と体がそこについていかなくなった。それだったらサンリツでコーチをさせていただいて、サポート側に回った方が自分の目標を達成できるかなと思った」と決断の理由を明かした。

 思い出の試合には、明徳義塾高でのインターハイ学校対抗優勝と、16年全日本選手権で大矢(旧姓・中島)未早希と組んだ女子ダブルスでの優勝を挙げた。競技生活を通じ「小さい時から人見知りもあって、卓球をやってなかったら、こんなにいろんな人とも出会えなかったし、勝負する楽しさも分からなかった。何かに向かって頑張ることも卓球から教えてもらった」という。

 特に大きかったのは、元全日本女王で明徳義塾中・高で監督を務める佐藤利香さんとの出会い。「その出会いがなければここまで頑張れなかったと思うし、心の面とか人として大事なことを学んだ。卒業してからも厳しくしていただいて、ずっと褒められるようなことはなかったけど、(今年1月の)全日本の時に『お疲れ様』と抱きしめてもらった。思い出すだけで泣きそうになります。感謝の気持ちでいっぱい」と、しみじみと語った。

 4月からは実業団のサンリツのコーチに就任する予定だ。「まだ未知の世界に行く感じなので選手の時よりもちょっと不安はあるんですけど、逆にそれが挑戦。うまくいかないこともいい刺激になると思う。信頼関係が大事になってくると思うので、選手が何を考えてるかを良く考えながら、自分がまず頑張っていきたい」と決意を込めた。

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