村田諒太、体重超過で王座剥奪の比嘉の分まで…ミドル級日本人初のV1へ

2018年4月15日6時0分  スポーツ報知
  • 計量を終え、互いににらみ合って闘志をみなぎらせる王者・村田(左)とブランダムラ(カメラ・竜田 卓)

 ◆報知新聞社後援プロボクシング・ダブル世界戦 ▽WBA世界ミドル級タイトルマッチ 王者・村田諒太―同級6位・エマヌエーレ・ブランダムラ ▽WBC世界フライ級タイトルマッチ 前王者・比嘉大吾―同級2位・クリストファー・ロサレス(4月15日、神奈川・横浜アリーナ)

 WBA世界ミドル級王者・村田諒太が、泰然自若の精神でリングに上がる。ダブル世界戦(報知新聞社後援)は15日、横浜アリーナでゴング。14日は都内で計量が行われ、村田はリミットの72・5キロ、同級6位エマヌエーレ・ブランダムラは200グラム下回る72・3キロで一発パスした。勝てばミドル級では日本人初の防衛成功となる。セミファイナルのWBC世界フライ級王者・比嘉大吾が計量失敗で王座剥奪となる中、日本人王者の誇りを示す戦いが託された。

 計量をパスした村田は、会場内に区切られた控室でまさかの事態を知った。自身の後に1度目の計量に臨んだ比嘉が、900グラム超過。報道陣、関係者約200人のため息が漏れた。比嘉とは昨年5、10月と同じ興行で世界戦を行い、強さを認め合う間柄。2戦ともメインを張る自分の試合前に、豪快なKOで盛り上げてくれた。それだけに、比嘉の失敗については、「いわば身内なわけじゃないですか。その身内をとやかく言う性質の人間ではない。それはノーコメントですね」と話すにとどめた。

 1か月前に79・5キロあった自身の減量は、予定通りに終えた。普段は計量後に食事をしてから取材に応じるが、今回はスッポンスープを飲んだだけで対応できるほど順調だった。「もうこれがプロ15戦目。それなりに慣れているので大丈夫」。取材後にパスタ、夜はウナギと、いつも通りのメニューで回復に努めた。周囲の喧騒(けんそう)に動じることは全くない。

 ホテルの自室では読書に励んでいる。手に取るのは、ナチスドイツのアウシュビッツ収容所に関する著書「夜と霧」。印象的なのは、収容所から解放された人が、芽の出たばかりの畑の上を突っ切るシーンだ。芽を潰す行為をとがめられた人は、「自分たちはもっとひどい仕打ちを受けた」と主張した。誰にも不正を働く権利はないのに、それを正当化しようとする場面だ。

 村田はこれを自分に置き換えた。「僕の場合と全然違うかもしれないけど『王者になったから何をやってもいい』というわけではない。どう振る舞うかは自分次第」。2012年ロンドン五輪で金メダルを獲得。昨年に世界王者となっても常に謙虚でいるために、大舞台を前に読み返した。

 今秋のV2戦は、五輪決勝で倒した同級13位エスキバ・ファルカン(ブラジル)との再戦の可能性が高い。今冬には世界同級3団体統一王者ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)と東京ドームでのビッグマッチも浮上している。「そうなったら日本ボクシング界も盛り上がる。できればいいですね」

 最近はペン字に夢中だ。長男・晴道くん(6)には「下手だね」と笑われるが、「自分の字の特徴を見ていると面白い」と没頭する。周囲が過熱しても、写経のように無心になれば落ち着く。「倒したい欲とか、邪念みたいなものが出る。いかに抑えて試合に臨めるかが大事」。冷静さこそが32歳の成長を物語る。日の丸を背負う男は、泰然自若として挑戦者を迎え撃つ。(浜田 洋平)

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