元暴走族ボクサー・石脇、昨年度新人王・小西を破る 目指す石田順裕会長との師弟王者
◆プロボクシング 西日本新人王決定戦準決勝 ▽4回戦(1日、兵庫・尼崎インキュベーションセンター)
準決勝10試合が行われ、ライト級(61・2キロ以下)では、元暴走族でボクシングと出会って更正した石脇麻生(あそう、18)=寝屋川石田=が、同階級で昨年度西日本新人王の小西帝土(みかど、21)=井岡弘樹=に3―0の判定勝ち。
所属ジムの元WBA世界スーパーウエルター級暫定王者・石田順裕(のぶひろ)会長(42)との師弟王者へ、まずは今年度新人王獲得をめざす。石脇の通算成績は3勝(2KO)1敗。決勝は9月16日、エディオンアリーナ大阪第2競技場で行われる。
▽ライト級
○石脇麻生=寝屋川石田=(判定)小西帝土=井岡弘樹=●
かつて暴走行為を繰り返した石脇が、リング上では暴走することなく的確にパンチを当てた。1回に右拳を痛め、2回に偶然のバッティングで左目上を切るアクシデントもあったが、堅実に左ジャブから試合を組み立て、ディフェンス面でも小西に決定打を許さなかった。ジャッジ3者いずれも1ポイント差の39―38。3―0の判定勝ちがコールされると、セコンドの石田会長と雄たけびを上げ、喜びを爆発させた。実績がある強敵を下して決勝進出を決めた18歳は「苦しい試合になることは分かっていた。できれば倒して勝ちたかった」と3連続KO勝ちを逃し、複雑な表情で笑みを浮かべた。
大阪・寝屋川市出身。地元では有名なワルだった。暴走とケンカに明け暮れ「鑑別所に3度、少年院に1度、お世話になった」と苦笑い。ボクシングとの出会いは少年院にいた14年9月、ふと手に取った新聞の記事だった。WBC世界フライ級王者だった八重樫東(大橋)が、当時無敵の世界3階級王者・ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)に9回TKO負けで敗れ王座陥落。壮絶な打撃戦の末に散った八重樫のファイトに心を打たれ、出所後の16年、地元の寝屋川石田ジムに入門した。
17年8月のデビュー戦はガラ空きのガードが災いして1回TKO負け。だが、その後は元世界王者の石田会長の下でディフェンスの改良を重ね、現在3連勝中だ。
石田会長は、まな弟子について「根は真面目で、天性のパンチ力は現役時代の僕よりも上。まずは今年の新人王を取らせて、将来は世界を取らせる」と師弟での王座獲得へ熱が入る。石脇は「ボクシングは勝った時の感激がハンパない。こんなに注目されること、そうそうない。ケンカとは全然違う」とその魅力にハマッた様子で「今の僕が世界王座を語るはおこがましい。今は新人王を取ることが目標」と謙虚に語る。まずは今年度の西日本、全日本の新人王を獲得し、日本ランキング入りを果たしてみせる。
◆その他の試合結果
▽ライトフライ級
○見村徹弥=千里馬神戸=(判定)表祥=SFマキ=●
○嘉数力=ロマンサジャパン=(判定)黒古将之=尼崎=●
▽バンタム級
○津川龍也=堺東ミツキ=(判定)竹嶋海刀=勝輝=●
○岡本大智=井岡=(4回18秒 TKO)南直希=ロマンサジャパン=●
▽スーパーバンタム級
○木村元祐=JM加古川=(判定)宮本喬史=姫路木下=●
○原優奈=渥美=(棄権)武田誠人=倉敷守安=●
▽フェザー級
○木村テミン=グリーンツダ=(判定)安部貴士=尼崎亀谷=●
▽スーパーフェザー級
○福井貫太=寝屋川石田=(判定)平野泰我=大星森垣=●
○三尾翔=グリーンツダ=(1回1分44秒 KO)浜田隼介=堺東ミツキ=●
▽ライト級
○内村竜平=グリーンツダ=(判定)土井栄一=倉敷守安=●