山中慎介氏&岩佐亮佑対談…パート1 岩佐がペースを握られた原因を明かす「試合前のグラブを合わせた瞬間…」

スポーツ報知
2011年3月に日本タイトル戦で対戦した山中慎介氏(左)と岩佐亮佑が日テレの企画で対談を行い、激闘を行った当時の写真を手に当時を振り返った

◆報知新聞社後援 プロボクシング世界戦 ▽IBF世界スーパーバンタム級(55・3キロ以下)タイトルマッチ12回戦 岩佐亮佑―TJ・ドヘニー(16日、東京・後楽園ホール)

 IBF世界スーパーバンタム級王者・岩佐亮佑(28)=セレス=が、16日に同級1位TJ・ドヘニー(31)=アイルランド=との2度目の防衛戦(報知新聞社後援)に臨む。試合を前に日本テレビの企画で、2011年日本バンタム級タイトルマッチで敗れた元WBC世界同級王者・山中慎介氏(35)と対談。収録のもようは、15日午後11時からの日本テレビ系「NEWS ZERO」内で放送される。スポーツ報知では、4回に渡って対談のもようをネット配信する。

 収録は岩佐の所属する千葉・柏市内のセレスジムで行われた。岩佐のインタビュー中に山中氏がサプライズで登場。

 岩佐(以下、岩)「えー?! ちょっと待って下さいよ…」

 山中氏(以下、山)「ちょうど柏駅降りたから」

 岩「降りないでしょ、普通。 いやいやいや」

 山「たまたま柏で降りて」

 岩「ありがとうございます」

(対談開始)

 ―会うのはいつ以来か

 岩「1回、みんなで食事をさせてもらった」

 山「今年の3月のダブルタイトルマッチが終わってから、2か月後くらいに共通のフィジカルトレーナーの人たちも含めて」

 ―どんな話をする?

 山「意外と初めてで」

 岩「そうですね。食事をするのも初めてだし、今まであいさつ程度でしたし」

 山「現役中になかなか他のジムの選手とっていうのはあまりなかったので。岩佐君はジムは違いますけど、試合もしてますし、帝拳ジムの興行でも一緒になるし、会えば話す仲だった」

 ―互いのイメージは

 山「イメージですか。う~ん、印象…。やっぱりボクシングに関してはテクニックっていうのはすごい持ってるなって。僕と対戦する前からそのテクニックは本当にうらやましいなというすごい技術を持ってました。僕とは全然違うタイプで。同じサウスポーですけど、本当に上体の動きとかうまかったし、目が良いから。それでも、僕はマネしようと思ってもできないので、自分は自分の良さを出していこう思ったけど、まあ、見ていて本当に華があるボクサーだなと」

 岩「いやいやいや…」

 山「いや、思いましたよ」

 岩「ぶっ倒す人がそんなこといっちゃいけないですよ」

 山「思ってたって、本当に。特に僕が戦う前に一番印象に残ってる試合が、最強後楽園の臼井(欽士郎)選手との試合。岩佐君とどっちかが勝てば、僕に挑戦権があるって試合。だったよね?」

 岩「だったっすかね。山中さん、その時は」

 山「日本チャンピオンの時。最強後楽園で優勝したらチャンピオンカーニバルで戦うってなった。見に行ったんですよ、生で観戦したんですよ。臼井選手もだいぶ評判も高かったんですけど、圧倒して、本当に自分の動きたいように動いて。なんでしょうね、危機感がありましたね、その瞬間に。だからこそ、岩佐君と戦うまでに自分も強くなれたし、すごいなと思いましたけど」

 ―岩佐選手は

 岩「若かったのもあるし、当時21歳で最強後楽園もMVPもらって、自分でも自信満々だったんですよ。山中さんと対戦する前に。試合前の予想とかも結構競っていたり、僕が上だったり、下馬評があったので僕は自信満々だった。やる前から。僕の印象はゴング鳴る前、対峙(たいじ)するじゃないですか。その時にグラブを合わせるじゃないですか。グラブ合わせた瞬間に僕はいつも相手の目を見るんですよ、絶対。どの選手、どの試合でも。目を見るんですけど、グラブ合わせた瞬間に山中さんにグッと押されたんですよ。その時にペース持ってかれたなって今でも思うんですよ(笑い)なんか、ちょっとひるんだんですよ。アッて。いつもと違うなって。なんかそこから試合が始まって、ジャブもらったら硬いし、あの試合は全部そこから歯車が僕の中で崩れたんですよ。かみ合わなかったのもあって。なんかそのイメージだった。最初」

 山「その瞬間は覚えてないんですけど、そこから駆け引きは始まっていたんですよ」

 岩「間違いないですね。なんかグンと押されて、感覚なんですけど、なんかニヤリとされた気がするんですよ。フンって感じで。なんか見透かされてるのか、上から見られているのかって。そういう印象があったのは覚えてますね」

 山「とはいえ、序盤3ラウンドは全部取られてますからね。引かされたし」

 ―勝ったら世界。戦う前はどういう気持ちだったか

 山「僕も試合が決まった時は自信はありましたし、日本チャンピオンっていうプライドもありました。とはいえ、それまでの試合内容も含めて岩佐選手が有利っていうのは仕方ないなって思うんですけど、岩佐君有利って言ってる人に対しては悔しかったっていうのはありましたね」

 ―岩佐選手は戦う前のプレッシャーとか。

 岩「いや、なかったんですよ、プレッシャーとか。やっぱり自信満々だったので」

 山「20歳」

 岩「21歳です。負けるわけないなって。でも、勝ったら世界っていう実感も全然なかったです。え、これで勝ったら世界行けるの?って、半信半疑っていうか。ただ盛り上げているだけっていうか、イメージでは。盛り上げられているのはいいとして、まあ勝ってもそんなすぐに世界が来るとも思ってもなかったし。逆に僕が負けて、山中さんが勝って、次の試合で世界やって、あっそんな試合だったんだって、改めて思った。負けてから。そんなイメージだった」

 山「当時、バンタム級の中ではずば抜けて強い相手だった。岩佐君に勝てたことで(帝拳ジムの)本田(明彦)会長も世界戦を用意してくれたというのもあるし、本当に大事な試合で勝利できたってのはありますね」

 ◆日本バンタム級タイトルマッチVTR(11年3月5日、東京・後楽園ホール)当時8戦全勝でランク1位の指名挑戦者・岩佐と初防衛に挑む王者・山中の無敗対決。序盤は岩佐がリードし、2回に左ショートで山中をぐらつかせたが、冷静な王者は中盤から左ボディーを軸に主導権を握る。自慢の左で再三好打し、最終10回にロープ際に追い込んで一気に7連打。最後は山中の左ストレートが顔面を捉え、レフェリーストップでTKO勝ち。

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