岩佐がＶ２防衛ならず…苦手のサウスポーに三度敗れ「負けたと思っていた。これが現実」

◆報知新聞社後援プロボクシング世界戦▽ＩＢＦ世界スーパーバンタム級（５５・３キロ以下）タイトルマッチ１２回戦　岩佐亮佑―ＴＪ・ドヘニー（１６日、東京・後楽園ホール）

　ＩＢＦスーパーバンタム級王者の岩佐亮佑（２８）＝セレス＝が、１９勝無敗の同級１位、ＴＪ・ドへニー（３１）＝アイルランド＝に０―３の判定で敗れ、２度目の防衛はならなかった。岩佐の戦績は２５勝（１６ＫＯ）３敗。世界初挑戦で新王者となったドヘニーは２０勝（１４ＫＯ）無敗。

　あっけなくベルトを失った。ジャッジ３人の採点は１１３―１１５、１１２―１１６、１１２―１１７の０―３。判定結果を聞いた瞬間、岩佐は小さくうなずた。「負けたと思っていた。これが現実。自分の力量が足りなかった」。大振りのパンチを寸前でかわす持ち味を発揮した場面もあったが、鬼門のサウスポーにプロ３敗目を喫し、タイトルを失った。

　積極的に打ち込んでくると分析したはずの挑戦者が距離を取り、突然、踏み込んでは右のジャブや左ストレートを食らい「俺が苦手なことをやってきた」と面食らった。辛勝だった３月の初防衛戦の相手と同じ戦法だった。ジャブが届かず、距離がつかめず苦戦。歯車が狂い、左を当てられなかった。劣勢のまま進み、陣営のセレス小林会長（４５）は８回から慌てた。「倒さないと勝てない」。ポイントで挑戦者が上回っていると考え、１０回には「勝負してこい！」とハッパをかけた。しかし、リスクを冒して攻めることができなかった。セレス会長は「負けていると分かっていて、覚悟が足りない。勇気がない」と厳しく指摘した。

　２０１１年日本バンタム級タイトルマッチで山中慎介氏（３５）に敗れ、１５年６月に英国で世界初挑戦も敗戦。いずれもサウスポーだった。遠回りしてようやくつかんだ世界王者のベルトは１１か月で失った。岩佐は「今は『また頑張ろう』となるまで、よく考えた方がいい」と進退は保留した。セレス会長は「やりたいならチャンスは与える」とした。