岩佐、防衛に失敗陥落…全米生中継も「これが現実」

スポーツ報知
10回、ドヘニー(左)のパンチと相打ちになる岩佐。判定で敗れて王座陥落(カメラ・堺 恒志)

◆報知新聞社後援プロボクシング世界戦▽IBF世界スーパーバンタム級(55・3キロ以下)タイトルマッチ12回戦 ○TJ・ドヘニ(判定3-0)岩佐亮佑―●(16日、東京・後楽園ホール)

 IBF世界スーパーバンタム級王者・岩佐亮佑(28)=セレス=が、2度目の防衛に失敗した。指名挑戦者の同級1位TJ・ドヘニー(31)=アイルランド=に判定負け。プロでの3敗は全てサウスポーと鬼門を突破できず、米スポーツ専門局ESPN+で生中継された一戦で全米に強さを見せられなかった。岩佐の戦績は25勝(16KO)3敗、ドヘニーは20勝(14KO)。国内ジム所属の世界王者は5人となった。(観衆1505)

 あっけなくベルトを失った。0―3の判定結果を聞いた瞬間、岩佐は小さくうなずいた。「負けたと思っていた。これが現実。自分の力量が足りなかった」。大振りのパンチを寸前でかわす持ち味を発揮した場面もあったが、全米生中継のV2戦で鬼門のサウスポーにプロ3敗目を喫した。

 思わぬ距離感だった。積極的に打ち込んでくるはずの挑戦者が遠くにいる。「俺が苦手なことをやってきた」。辛勝だった3月の初防衛戦の相手と同じ戦法。ジャブが届かず、距離がつかめない。歯車が狂い、左を当てられなかった。

 劣勢のまま進み、陣営のセレス小林会長(45)は8回から「倒さないと勝てない」と危惧し、10回には「勝負してこい!」とハッパをかけた。だがリスクを冒して攻められず、同会長は「負けていると分かっていて覚悟が足りない。勇気がない」と厳しく指摘した。

 その「覚悟」が課題だった。3月の初防衛後は「嫌いな練習をサボらずやった。今まで逃げていた」と週2日、高強度の筋トレを敢行。「パンチの(力の)乗りも違う。拳が痛い」と成長を実感した。練習では、バンデージの中に衝撃吸収用のシリコーン製シートが必要なほど力はついた。千葉・習志野高で高校3冠のセンスに泥臭さが加わったが「怖さがあった。練習ではできていたといってもリングの上が全て。それを出せないのが実力」と同じ課題を抱えたまま終わった。

 11年の日本バンタム級タイトルマッチで山中慎介氏(35)に敗れ、15年6月に英国で世界初挑戦も敗戦。遠回りしてつかんだベルトを11か月で失った。「今は『また頑張ろう』となるまで、よく考えた方がいい」と進退は保留。セレス会長は「やりたいならチャンスは与える」とした。まだ28歳。再び心が奮い立つまで時間をかける。(浜田 洋平)

 ◆岩佐 亮佑(いわさ・りょうすけ)1989年12月26日、千葉・柏市生まれ。28歳。中学2年からセレスジムでボクシングを始め、習志野高で高校3冠を達成。2008年にプロデビュー。11年3月に日本バンタム級王座戦で山中慎介(帝拳)に10回TKO負け。同11月に同級で日本王座、13年12月に東洋太平洋王座、17年9月にIBF王座奪取。身長171.5センチの左ボクサーファイター。

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