八重樫東 気迫の7回TKO勝利で4階級制覇へ前進

スポーツ報知
4回、向井(手前)を攻める八重樫

 ◆プロボクシング▽スーパーフライ級(52・1キロ以下)10回戦 八重樫東―向井寛史(17日、東京・後楽園ホール)

 元世界3階級制覇王者の八重樫東(35)=大橋=が、スーパーフライ級ノンタイトル戦で、WBO世界同級14位の向井寛史(32)=六島=と対戦。7回2分55秒TKO勝利を飾った。

 ミニマム、ライトフライ、フライ級に続き、4つ目の世界王座を目指す八重樫は、初回から圧力をかけた。2度の世界挑戦の経験がある向井も一歩も引かず、次第に打撃戦は激しさを増していった。

 一進一退の攻防の中、6回、ワンツーを浴びた八重樫は棒立ちになり、追撃打も食らい、劣勢に立たされた。足に力が入っていない様子だったが、「6回はやべえと思った。やり返さないと」と闘争本能は失っておらず、今度はフルスイングの右フックを繰り出した。一発を浴びた向井が今度はダメージを被り、形勢は逆転した。

 7回はゴングと同時に仕掛け、パンチの嵐。「向こうのメンタルが弱っているのが分かった。自分も苦しいけど、行かないと…」と攻め立てて、最後はレフェリーストップとなった。

 試合当日の朝、大橋ジムの大橋秀行会長(53)からLINEで「悔いなく出し切ろう」とメッセージが届いた。13年間に及ぶ現役生活で初めての事に“負ければ引退”と悟ったという。試合後「負けたら、自分より先に『八重樫は引退します』と会長に言われてしまう」と語るなど、奮起につながったという。

 スーパーフライ級を主戦場にしていた向井が身長171センチに対し、八重樫は10センチ以上低い160センチ。「この階級では骨格、体格の差が常につきまとうけど、長い距離の選手のつぶし方を会長から教えられてきた。それが生きた」とこの日、接近戦を仕掛けた理由を明かした。

 スーパーフライ級はまだ2戦目で「自信があるとは言えない。でも自信をつけてから(世界戦を)やるのでは遅い。自信は決まってから上げていけばいい。どの(団体の)王者も強いけど、誰でもいいのでやりたい」と希望を口にした。

 八重樫の戦績は27勝(15KO)6敗、向井は16勝(6KO)6敗3分けとなった。

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