山中慎介氏、村田諒太のV2に太鼓判「KOを期待したい」

スポーツ報知
渡米前最後の公開練習で意気込みを見せる村田諒太(カメラ・池内 雅彦)

◆プロボクシング世界戦 WBA世界ミドル級タイトルマッチ 王者・村田諒太―同級2位・ロブ・ブラント(10月20日、米ネバダ州ラスベガス・パークシアター)

 WBA世界ミドル級王者・村田諒太が11日、同級3位ロブ・ブラントとの2度目の防衛戦に向けた練習を都内の所属ジムで公開した。南京都高の先輩で元WBC世界バンタム級王者・山中慎介氏(36)の現役時のような落ち着きぶりに、練習を見守った山中氏本人からも順調さに太鼓判を押された。日本歴代2位の世界戦12戦連続防衛を果たした同氏のように、KOへの意欲を表に出さず、相手を倒す。

 大量の汗が好調さを物語った。サウナスーツを着た村田は、ミット打ちや縄跳びなどで調整。足元に水たまりができ「こんなに出るとは思わなかった。(この日で)1・5キロは落ちているのでは」。リミットまで残り3キロで13日の渡米を迎えるはずが、「すでに(3キロ以下に)入っている」と手応えがある。

 この日は元日本スーパーミドル級1位で格闘家の三浦広光(37)と2回の軽めのスパーリングを実施。10日に打ち上げたスパーは計70回に及んだ。「今回の試合が大事なのは間違いない。舞い上がらないようにするのが大事」と平常心を貫いた。

 山中氏は「内に秘めた強い思いを持っているけど、気持ちを出さないようにしている」と印象を語った。「KOしなければならないという思いを出し過ぎてはいけない」。山中氏も、防衛数など毎試合記録やKOを期待されたが、言葉にすると意識してしまい、練習通りに体を動かせない。「僕も気持ちを抑えていた。バランスが大事。村田もわかっているから『KOする』とは言わなかった」。後輩がメンタルコントロールの重要性と方法を熟知していると見た。

 村田も先輩から学んできた。「山中さんはすごかった。ジムのみんなに気を使わせない。『近づくな』みたいな雰囲気は絶対に出さない」。大一番の前も平常心で長期防衛。村田は、再戦で王座奪取した昨年10月のエンダム戦前に重圧で心が折れかけたが、乗り越えたことで、「あの経験が大きい」と成長を実感できた。2015、16年にも10回戦でラスベガス興行に出場した経験値を生かす時だ。

 ステップアップへのアピールのため、派手なKOが必要な村田は「できればいいな、くらいで。狙うとマイナスの作用をもたらす。平常心で」と話すにとどめた。冷静さに磨きがかかっている。

(浜田 洋平)

 〇…試合を中継する「DAZN(ダゾーン)」で解説予定の山中氏は、試合展開を予想した。「結局は村田が追うことになる。相手はあの圧力とフィジカルを恐れると思う」と説明。スピードがあり、足を使ってくるブラントに対し、「止まれば打てるけど、いかに動いている時に打てるか」とポイントを挙げ「しっかりとした強さをアピールすることが大事。KOを期待したい」とエールを送った。

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